総腸骨静脈

総腸骨静脈は左右ともに仙腸関節の前面で、内および外腸骨静脈が合流して形成されます。これは第5腰椎体の前面で大動脈の右側に向かって上行し、この地点において左右が合流して下大静脈となります。右総腸骨静脈は同名の動脈の後外側をほぼ垂直に上行します。一方、左総腸骨静脈は長い上に斜めに走行し、最初は総腸骨動脈の内側に位置し、その後は右総腸骨動脈の背側を通過して右側へと移動します。

胎児の骨盤内静脈

『日本人のからだ(大久保真人 2000)』によると

胎児の骨盤内静脈に関する調査は件数、例数ともに少ないが、参考のために阿曾(1931)の記述を簡単にまとめる。

  1. 左右の総腸骨静脈は、第5腰椎椎体位置から第1仙椎上端までの間で合流する。
  2. 外腸骨静脈は、内腸骨静脈よりもはるかに太い。
  3. 外腸骨静脈と内腸骨静脈が合流する際の角度、そして左右の総腸骨静脈が合流する際の角度は、いずれも成人に比べて鋭く、小さい。
  4. 左総腸骨静脈の経路中に分岐や吻合があり、島(Spaltbildung)を形成するものがある。
  5. 左外腸骨静脈が同等の上下2枝に分かれ、下位の1枝は左内腸骨静脈と合流して通常の左総腸骨静脈を形成するが、上位枝は左総腸骨静脈に密接して下大静脈起始部へ入る。
  6. 正中仙骨静脈は大部分が1条で、わずかに2条の場合もある。

生後変化

『日本人のからだ(大久保真人 2000)』によると

左総腸骨静脈は、右総腸骨動脈と骨盤壁の間で挟まれ、圧迫を受けるため、左総腸骨静脈の壁の内腔側には部分的な癒合(または肥厚)が起こることがあります (Okamoto, 1922)。その調査結果は以下の通りです:

1.性別による差はない:21-60歳の男性では35例中24例(68.5%)、女性では16例中10例(62.5%)で認められました。

2.年齢とともに増加します。

3.発生部位(38例)は以下の通りです: