前外椎骨静脈叢 Plexus venosus vertebralis externus anterior
前外椎骨静脈叢は、脊椎静脈系の重要な構成要素であり、椎体の前面に広がる静脈網です (Standring, 2020)。この静脈叢は、脊椎からの静脈血を効率的に排出する役割を担っています。

J0616 (腰椎の静脈の正中断面:左側からの図)

J0617 (腰椎の静脈:上方からの水平断面図)
解剖学的特徴
位置と構造:
- 椎体の前面および側面に沿って広がる静脈網を形成
- 椎間円板の前方を通過し、隣接する椎骨レベルで縦方向に連絡
- 椎骨の両側で相互に交通し、左右の静脈叢が連絡している
- 前縦靱帯(anterior longitudinal ligament)の深層に位置
発達の程度:
- 頚椎部で特に顕著に発達しており、太い静脈幹を形成
- 胸椎部では比較的細く、肋間静脈との連絡が重要
- 腰椎部では中等度に発達し、腰静脈との連絡が豊富
連絡と流出路:
- 内椎骨静脈叢(硬膜外静脈叢)と椎間孔を通じて交通 (Groen et al., 2015)
- 後外椎骨静脈叢と椎体周囲で連絡
- 頚部:椎骨静脈(vertebral vein)へ流出
- 胸部:肋間静脈(intercostal veins)や奇静脈系へ流出
- 腰部:腰静脈(lumbar veins)を介して下大静脈へ流出
- 仙骨部:外側仙骨静脈(lateral sacral veins)へ流出