大脳の静脈は脳から脱酸素化血液を排出し心臓へ戻す血管系で、表面(浅)と内部(深)に大別され、浅は硬膜静脈洞へ、深は大静脈経由で直静脈洞へ流れる。血液は大脳核、間脳、髄質の一部、中脳など広範囲から集められ、脳内循環に重要な役割を果たす。
大脳の静脈(cerebral veins)は、大脳(終脳)からの脱酸素化血液を回収し、硬膜静脈洞(dural venous sinuses)へ導く静脈系である。動脈系と比べて走行の変異が大きく、また弁を欠く静脈が多いため、頭蓋内圧変動や側副血行路の形成、感染・血栓の波及に関与する(Standring, 2020)。
大別すると、(1) 表在(皮質)静脈系(superficial cerebral veins)と、(2) 深部静脈系(deep cerebral veins)に分けられ、両者は吻合しつつ、最終的に上矢状静脈洞・横静脈洞・直静脈洞などへ流入する(Rhoton, 2002)。
表在大脳静脈は主として大脳皮質および皮質直下白質から血液を集め、**架橋静脈(bridging veins)**としてくも膜下腔を横断して硬膜静脈洞に注ぐ(Standring, 2020)。架橋静脈は外傷で牽引されやすく、硬膜下血腫の機序と密接に関わる(Greenberg, 2022)。
上大脳静脈(superior cerebral veins)
上矢状静脈洞へ注ぐ。前頭・頭頂の皮質静脈を主に集める。
浅中大脳静脈(superficial middle cerebral vein)
シルビウス裂(外側溝)に沿う代表静脈。流出先は海綿静脈洞方向(蝶形頭頂静脈洞など)や横静脈洞方向など多様で、変異が多い(Rhoton, 2002)。
吻合静脈(anastomotic veins)
これらは脳表静脈の主要側副路となる一方、静脈性梗塞の危険部位にもなる(Greenberg, 2022)。
深部静脈系は、大脳基底核(尾状核・被殻・淡蒼球など)、視床、脳梁周囲、深部白質、さらに中脳上部の一部などから血液を集める(Standring, 2020)。
内大脳静脈(internal cerebral vein)
脈絡叢静脈や視床線条体静脈などを集め、左右が後方で合流して**大脳大静脈(great cerebral vein, vein of Galen)**を形成する(Rhoton, 2002)。
基底静脈(basal vein of Rosenthal)
中脳周囲を後方へ走り、深部構造や側頭葉内側などからの静脈を集め、Galen大静脈に合流することが多い(Standring, 2020)。
大脳大静脈(Galen大静脈)→直静脈洞(straight sinus)
Galen大静脈は直静脈洞へ注ぎ、さらに横静脈洞系へ連絡する。小児の静脈奇形(Galen大静脈瘤様奇形)など、血行動態が全身循環に影響しうる領域でもある(Greenberg, 2022)。