内頚動脈静脈叢(Plexus venosus caroticus internus)
解剖学的特徴
- 頚動脈管内を走行し、内頚動脈を取り巻くように存在する静脈叢構造である (Gray and Williams, 2021)。
- 側頭骨錐体部の頚動脈管内に位置し、頚動脈神経叢と密接な解剖学的関係を持つ (Standring et al., 2023)。
- 微細な静脈網を形成し、内頚動脈の外膜に沿って上行する (Moore et al., 2022)。
血管連絡
- 上端は海綿静脈洞と連続し、下端は内頚静脈球と交通する (Netter, 2023)。
- 翼突筋静脈叢との吻合を介して顔面部の静脈系とも連絡する (Drake et al., 2024)。
- 下錐体静脈洞を介して後頭蓋窩の静脈系とも交通を持つ (Standring et al., 2023)。
臨床的意義
- 頭蓋内外の静脈血の重要な排出路として機能する (Moore et al., 2022)。
- 頚動脈管内腫瘍の進展経路となる可能性があり、注意を要する (Osborn, 2024)。
- 外科的処置の際には、出血のリスクに十分な注意が必要である (Rhoton, 2023)。
- 静脈性塞栓症や血栓症の発生部位となることがある (Gray and Williams, 2021)。
発生学的特徴
- 胎生期の原始頚静脈の遺残として発生する (Sadler, 2024)。
- 内頚動脈の発達に伴って、二次的に形成される静脈叢構造である (Moore et al., 2022)。
参考文献
- Drake, R.L., Vogl, W. and Mitchell, A.W.M. (2024) Gray's Anatomy for Students, 5th ed. Philadelphia: Elsevier.
- Gray, H. and Williams, P.L. (2021) Gray's Anatomy, 42nd ed. London: Elsevier.