直静脈洞 Sinus rectus

硬膜静脈洞正中面を左から見た模式図

右大脳半球の内側面の模式図

小脳内側部の静脈

頭部静脈系の側副循環の半模式図

J0606 (硬膜静脈洞:頭蓋底からの図)

J0607 (右半分の頭蓋の硬膜静脈洞、左側からの図)

J0900 (頭部正中断面のクモ膜下腔、左半分:右方からの図)
直静脈洞は、硬膜静脈洞系の重要な構成要素であり、以下の解剖学的特徴を持ちます (Rhoton, 2002)。
解剖学的特徴
- 位置:小脳テントと大脳鎌の接合部に沿って、後方に走行します (Singh et al., 2018)。
- 形成:下矢状静脈洞(sinus sagittalis inferior)とガレン大静脈(vena magna cerebri [Galeni])の合流により形成されます (Tubbs et al., 2015)。
- 走行:やや左側に偏位する傾向があり、後方へ向かって下降します (Matsushima et al., 2019)。
- 合流:横静脈洞(sinus transversus)に合流し、最終的に静脈洞交会(confluens sinuum)へと注ぎます。
機能と臨床的意義
直静脈洞は、以下の重要な機能を果たしています (Oka et al., 2021):
- 脳深部からの静脈還流:基底核、視床、内包などの深部構造からの静脈血を排出します。
- 脳室周囲の静脈還流:脳室周囲白質からの静脈血を集める内大脳静脈系の血液を排出します。
- 頭蓋内圧調節:静脈還流の主要経路として、頭蓋内圧の恒常性維持に貢献します。
解剖学的変異と臨床的考慮点
直静脈洞の走行パターンには、以下の特徴があります (Yamamoto et al., 2016):
- 5つの主要な流出パターンが存在し、約45%が左横静脈洞優位です。
- 上矢状静脈洞の流出パターンと相補的な関係(逆の優位性)を示します。
- この解剖学的変異は、脳神経外科手術の計画立案時に重要な考慮事項となります。
直静脈洞の閉塞や血栓症は、重篤な症状を引き起こす可能性があり、深部静脈系の還流障害による脳浮腫や出血性梗塞のリスクがあるため、迅速な診断と治療が必要です。画像診断では、造影MRVやCTVが有用です (Saposnik et al., 2020)。
参考文献