硬膜静脈洞は硬膜の骨膜層と髄膜層の間に形成される静脈性導管で、脳・髄膜・頭蓋骨からの静脈血を内頚静脈系へ還流させる重要な排出路である。壁は線維性結合組織で構成され平滑筋がなく、弁もほとんどないため感染が頭蓋内へ波及しやすく、血栓や炎症が広範な静脈灌流障害につながる。主な流入は脳表静脈や架橋静脈、流出は横静脈洞→S状静脈洞→内頚静脈へ向かう。上矢状洞、下矢状洞、直静脈洞、横静脈洞、S状静脈洞、海綿静脈洞、上・下錐体静脈洞など各洞の解剖と臨床的意義を概説し、頭痛・痙攣・眼症状などの警戒サインとMRI/MRV、CT/CTV、DSAによる画像診断、抗凝固や血管内治療などの管理法を提示している。
硬膜静脈洞(dural venous sinuses;ラテン語:Sinus durae matris)は、硬膜(dura mater)の骨膜層と髄膜層の間に形成される静脈性の導管であり、脳・髄膜・頭蓋骨からの静脈血を集めて最終的に内頚静脈(internal jugular vein)系へ還流させる(Standring, 2021)。一般の静脈と異なり、洞壁は硬膜由来の線維性結合組織で支持され、平滑筋を欠き、内腔は内皮で被覆される(Moore et al., 2023)。この構造は、頭蓋内圧や頸静脈圧の変動に対して“つぶれにくい”排出路として働く一方、血栓形成や感染の波及が起こると、広範な静脈灌流障害へ直結し得る(Saposnik et al., 2011)。
硬膜静脈洞の主流は、横静脈洞(transverse sinus)→S状静脈洞(sigmoid sinus)→内頚静脈球(jugular bulb)→内頚静脈へと排出される(Standring, 2021)。
大脳鎌(falx cerebri)上縁に沿い、前方から後方へ走行する。多くの脳表静脈が流入し、**くも膜顆粒(arachnoid granulations)**を介した髄液吸収とも密接である(Standring, 2021)。