内胸静脈 Venae thoracicae internae

J0432 (腹側胸壁の筋:背面図)

J0609 (頚部の深部静脈:右側からの図)

J0627 (胴体の表在静脈、腹側からの図)
内胸静脈は、胸腔の前壁を走行する重要な静脈系です。以下に、その解剖学的特徴と臨床的意義について説明します (Gray and Standring, 2023)。
1. 解剖学的特徴
- 内胸動脈に並行して走行し、胸骨の両側を上行します (Moore et al., 2024)。
- 各肋間腔において、前肋間静脈との吻合を形成します (Standring, 2021)。
- 深腹壁静脈系と連続性があり、腹直筋の後面を上行する上腹壁静脈を介して、腹部の静脈と交通します (Netter, 2023)。
- 筋横隔静脈と合流した後、第一肋骨付近で腕頭静脈に注ぎます (Drake et al., 2023)。
2. 臨床的意義
- 門脈圧亢進症時には、腹壁静脈との吻合により、重要な側副血行路となります (Skandalakis et al., 2024)。
- 冠状動脈バイパス手術(CABG)における内胸動脈採取時には、損傷に十分な注意が必要です (Brunicardi et al., 2023)。
- 胸壁手術、特に胸骨正中切開時には、重要な出血源となる可能性があるため、慎重な操作が求められます (Chaikof and Cambria, 2018)。
3. 発生学的側面
- 内胸静脈は胎生期の前主静脈系から発生します (Schoenwolf et al., 2021)。
- その発達過程は、胸壁の静脈還流パターンの確立に重要な役割を果たします (Carlson, 2019)。
4. 画像診断
- CT血管造影では、内胸静脈は胸骨の両側を走行する線状構造として描出されます (Webb et al., 2020)。
- MRIでは、冠状断や横断面で腕頭静脈への合流部が明瞭に観察できます (Weissleder et al., 2022)。
内胸静脈は、これらの解剖学的特徴により、胸壁の静脈血を効率的に心臓へと還流させる重要な経路となっています。また、その走行経路と吻合形態は、様々な病態における側副血行路形成において、きわめて重要な役割を果たしています (Drake et al., 2023)。
参考文献