脊髄枝(外側仙骨動脈の) Rami spinales (Arteria sacralis lateralis)
外側仙骨動脈から分岐する脊髄枝は前仙骨孔を通り仙骨管内で硬膜囊・神経根・仙骨海綿骨へ血液供給し、手術や外傷時の出血リスクや血管性病変の評価に重要であり、画像診断(CT、MRI、血管造影)と臨床的注意が必要である。
1) 概要
外側仙骨動脈(lateral sacral artery, arteria sacralis lateralis)から分岐する「脊髄枝(spinal branches / rami spinales)」は、主として**前仙骨孔(anterior sacral foramina)**から仙骨内へ入り、仙骨管(sacral canal)内で硬膜囊・神経根(仙骨神経)周囲の血流に寄与する小枝である。(Standring, 2021)
2) 解剖(位置・走行・隣接・変異)
起始・分岐
- 外側仙骨動脈は多くの場合、内腸骨動脈(internal iliac artery)後枝系から起こり、仙骨前面を下行しつつ複数の枝を出す。(Moore et al., 2023)
- その枝の一部として、各レベルで**脊髄枝(spinal branch)**が前仙骨孔へ向かう。(Standring, 2021)
走行(前仙骨孔→仙骨管)
- 脊髄枝は前仙骨孔を通って仙骨内へ入り、仙骨管(椎弓が形成する後方の管腔)へ到達する。(Standring, 2021)
- 仙骨管内では、硬膜囊の末端(硬膜囊は概ねS2付近で終わることが多い)より尾側では、主に神経根(馬尾相当)・神経根周囲の血管網に関与する形で走る。(Standring, 2021)
隣接構造(臨床での“近接”の要点)
- 前仙骨孔の前面:骨盤内臓(直腸など)との間に仙骨前筋膜・血管神経叢が介在し、操作(手術・穿刺)では出血源になり得る。(Moore et al., 2023)
- 仙骨管内:仙骨神経根、硬膜囊末端、静脈叢(内椎骨静脈叢)などが近接する。(Standring, 2021)
血管吻合・変異(臨床的に重要な不確実性)
- 仙骨部の動脈は、正中仙骨動脈(median sacral artery)、腸腰動脈(iliolumbar artery)、**上殿動脈(superior gluteal artery)**などと吻合し得て、個体差が大きい領域である。(Standring, 2021)
- 「脊髄枝」が担う範囲(硬膜・神経根・骨髄のどこが優位に灌流されるか)は症例ごとの変動があり、血管造影で見える枝=臨床的に重要な灌流枝とは限らない点に留意する。(Lasjaunias et al., 2001)
3) 機能・灌流(神経・硬膜・骨)