腎動脈

腎動脈は、以下の特徴を持つ重要な血管です：

• 腹大動脈から左右に分岐し、上腸間膜動脈の約1cm下方（第2腰椎の高さ）に位置します
• 腎門に向かって走行します
• 右腎動脈は左腎動脈よりやや長く、下大静脈・膵臓・十二指腸下行部の後方を右側へ進みます
• 左腎動脈は膵体の後方を左側へ進みます

腎動脈の分岐と構造：

• 腎門付近で前枝と後枝に分かれます
• 前枝は後枝より太く、腎盂の前面を走行します
• 後枝は腎盂の後面を走行します
• 通常、約5本の終動脈に分岐します

腎動脈の変異：

• 多くの場合、複数の腎動脈が存在します
• 調査によると、単一の腎動脈は67.5%で、残りの32.5%には複数の腎動脈または副腎動脈が存在しています

腎動脈は腎臓への血液供給において極めて重要な役割を果たしており、その構造や変異は臨床的に大きな意義を持ちます。

J0586 (男性の腹部大動脈：腹面図)

日本人のからだ（児玉公道 2000）によると

腎動脈は腹大動脈から外側へ分岐する主要な枝で、多くの場合で複数存在します。ただし、これらの複数の動脈には、腎門からではなく、直接腎実質に入るものも含まれます。これらの枝を山田・萬年(1985)の定義に従って副腎動脈と定義し、腎門を基準にして、腎門より上位で腎実質に入るものを上副腎動脈、下位に入るものを下副腎動脈と区別し、その実態を208体416側で調査しました。その結果は表47に示しています。また、日本名では副腎動脈との混同を避けるために、副腎動脈(Accessory renal artery)を使用します。