上腸間膜動脈 Arteria mesenterica superior

J0586 (男性の腹部大動脈:腹面図)

J0587 (腹部内臓最深層の動脈:腹面図)

J0588 (腹部内臓表層の動脈:前面からの図)

J0589 (前腸間膜動脈の枝:腹面図)

J0619 (小腸の一部の動脈と静脈)

J0692 (十二指腸と膵臓、および腹膜の覆い:前方からの図)

J0713 (肝臓と膵臓の排出路:正面からの図)

J0764 (後腹壁にある男性の泌尿器:前方からの図)

J0977 (腹腔神経叢:前面からの図)
上腸間膜動脈は、小腸と結腸の大部分に血液を供給する主要な腹部の動脈です。発生学的には原始腸管の前腸と中腸の境界部に発達する動脈で、中腸の血管支配を担います (Standring, 2020)。
解剖学的特徴
- 起始部:腹部大動脈から第1腰椎レベル(腹腔動脈の約1~2cm下方)で前方に分岐します (Moore et al., 2018)。
- 走行:膵臓の後方を通過し、膵頭の下縁で膵臓の前面に出て、膵頭の左側に沿って十二指腸水平部の前面を下行し、小腸間膜の根部に入ります (Gray and Lewis, 2021)。
- 経路:小腸間膜内では、左側にやや凸の弧状を描きながら右腸骨窩に向かって下行し、終末部は回腸末端部付近に達します (Sinnatamby, 2018)。
- 直径:起始部で約5-8mmの太さがあり、加齢に伴い動脈硬化による変化が見られることがあります (Sakai, 2019)。
主要分枝
- 下膵十二指腸動脈:膵頭部下部と十二指腸に分布します (Netter, 2019)。
- 空腸動脈(4-6本):小腸の上部2/5(空腸)に分布します (Moore et al., 2018)。
- 回腸動脈(8-12本):小腸の下部3/5(回腸)に分布します (Standring, 2020)。
- 回結腸動脈:回腸末端部と盲腸、上行結腸の一部に分布します (Sinnatamby, 2018)。
- 虫垂動脈:回結腸動脈から分岐し、虫垂に分布します (Gray and Lewis, 2021)。
- 右結腸動脈:上行結腸に分布します (Netter, 2019)。
- 中結腸動脈:横行結腸に分布し、脾彎曲部付近で下腸間膜動脈の左結腸動脈と吻合します(Riolan弓) (Sakai, 2019)。
重要な吻合
- 膵十二指腸動脈アーケード:上膵十二指腸動脈(腹腔動脈系)と下膵十二指腸動脈(上腸間膜動脈系)の間に形成される吻合で、膵頭部と十二指腸の血流を保障します (Kimura and Naitoh, 2017)。
- 辺縁動脈(Drummond辺縁動脈):結腸の腸間膜付着部に沿って形成される動脈吻合で、上腸間膜動脈と下腸間膜動脈を連結します (Standring, 2020)。
- Riolan弓(中結腸動脈と左結腸動脈間の吻合):横行結腸の脾彎曲部付近で形成される吻合で、腸管の側副血行路として重要です (Moore et al., 2018)。