右胃大網動脈 Arteria gastroomentalis dextra

J0587 (腹部内臓最深層の動脈:腹面図)

J0588 (腹部内臓表層の動脈:前面からの図)
解剖学的特徴
起始と走行
- 右胃大網動脈は胃十二指腸動脈から分岐する主要な終枝の一つです(Moore et al., 2018)。
- 幽門部の近くで胃十二指腸動脈から起こり、大網(胃脾間膜)内を左下方へ走行します(Standring, 2020)。
- 胃の大弯に沿って左方へ向かい、前方を走行しながら左胃大網動脈(脾動脈から分岐)と吻合します(Netter, 2018)。
分枝と分布
- 胃枝:胃の前壁および後壁に向かう多数の枝を出し、大弯部の血液供給を担います(Moore et al., 2018)。
- 大網枝:大網に向かう枝を出し、大網の血管網を形成します(Standring, 2020)。
- これらの枝は胃壁の各層(粘膜、筋層、漿膜)に血液を供給します(Gray, 2015)。
血管吻合
- 左胃大網動脈と吻合することで、胃の大弯に沿って動脈弓(胃大網動脈弓)を形成します(Michels et al., 1965)。
- この吻合は重要な側副血行路となり、一方の血管が閉塞した場合でも血流を維持できます(Standring, 2020)。
臨床的意義
外科手術における重要性
- 胃切除術:胃癌や消化性潰瘍の手術では、右胃大網動脈の処理が必要となります。血管の走行と分枝を正確に把握することが出血のリスク軽減に重要です(Sano et al., 2004)。
- 胃大弯側の切除では、右胃大網動脈を結紮・切離する必要がありますが、左胃大網動脈からの側副血行により胃壁の血流は維持されます(Kitano et al., 2002)。
- 血管柄付き大網移植:右胃大網動脈を血管柄として大網を用いた再建術(食道再建、胸壁再建など)が行われます。血流の豊富さと長さが利点です(Urschel, 1986)。
消化管出血