脊髄枝(第一肋間動脈の)Rami spinales arteria intercostalis posterioris secundae

解剖学的特徴

第二肋間動脈の脊髄枝は胸椎第一・第二椎間孔を通って脊髄に分布する (Standring et al., 2016)。この脊髄枝は主に脊髄の背外側部に血液を供給し、脊髄灰白質および白質の栄養を担っている。解剖学的には、第二肋間動脈は胸部大動脈から分岐した後、肋骨間を走行し、その過程で脊髄枝を出す。脊髄枝はさらに前枝と後枝に分かれ、前枝は前根動脈となって脊髄前面の前正中裂に入り、後枝は後根動脈となって脊髄後面に分布する (Moore et al., 2018)。

臨床的意義

この動脈の閉塞や損傷が生じると、対応する脊髄分節の虚血や梗塞を引き起こす可能性がある (Takayama et al., 2017)。特に胸部大動脈瘤や解離性大動脈瘤の手術において、これらの脊髄栄養血管の温存は、術後の脊髄虚血や対麻痺などの神経学的合併症の予防に重要である (Melissano et al., 2019)。また、胸部外傷や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの脊椎疾患の診断・治療においても、脊髄枝の解剖学的理解は不可欠である (Murakami et al., 2021)。

参考文献