最上肋間動脈 Arteria intercostalis suprema

J0564 (頚深部の動脈、右方からの図)

J0584 (胸大動脈、腹側図)
概要とTerminologia Anatomica
- 最上肋間動脈(さいじょうろっかんどうみゃく;arteria intercostalis suprema)は、上位肋間(主に第1・第2肋間腔)へ向かう肋間動脈系の近位部をなす。多くの個体で、肋頚(collum costae)前面を下行しつつ背側へ枝を与える(Standring, 2021)。
- 臨床的には、上縦隔〜胸郭入口部の手術(胸腔鏡手術、肺尖部、上位肋骨周囲)や、胸部大動脈・鎖骨下動脈病変に伴う側副血行の理解に重要である(Moore et al., 2022; Standring, 2021)。
起始・分岐パターン(左右差と変異)
1) 右側:腕頭動脈(truncus brachiocephalicus)由来が典型
- 右最上肋間動脈は、腕頭動脈から分岐することが多く、胸郭入口部で後外側へ向かって第1・第2肋間の方向に走行する(Standring, 2021)。
2) 左側:大動脈弓(arcus aortae)由来が典型
- 左最上肋間動脈は、大動脈弓から直接分岐することが多く、上縦隔を経て第1・第2肋間へ向かう(Standring, 2021)。
3) 変異・代償経路
- 最上肋間動脈は、**鎖骨下動脈系(肋頚動脈 trunkus costocervicalis → 深頚動脈/最上肋間枝)**との連絡が強く、鎖骨下動脈狭窄・閉塞時の側副血行路として機能しうる(Moore et al., 2022)。
- 上位肋間動脈の分岐数(第1のみ、または第1〜第2)や、肋頚動脈・深頚動脈との優位性は個体差がある(Standring, 2021)。
走行(層構造で追う)
胸郭入口部〜肋頚前面
- 起始部:右は腕頭動脈、左は大動脈弓から後外側へ向かう。
- 肋頚(肋骨頚)前面を下行しつつ、上位肋間腔へ向かう(Standring, 2021)。
肋間腔内(肋間動脈としての基本走行)
- 肋間腔では、典型的な肋間血管束と同様に、肋骨下縁の肋間溝近傍を走り、肋間筋・壁側胸膜周囲へ枝を出す(Standring, 2021)。
- 前方で内胸動脈(a. thoracica interna)や上腹壁・筋横隔動脈系、後方で下位肋間動脈系と吻合し、胸壁灌流の冗長性を形成する(Moore et al., 2022)。