内側枝(橋動脈の) Rami mediales arteria pontis

小脳、脳幹、視床、線条体の動脈

小脳内側部の動脈
内側枝(橋動脈の)は橋動脈から分岐する主要な穿通枝で、橋底部の正中溝に沿って上行し深部白質を貫通して橋被蓋に至り、橋核、皮質脊髄路、皮質橋路、内側毛帯の一部、網様体の腹内側部を支配する。閉塞すると片麻痺、構音障害、四肢の運動失調を引き起こし、特に高血圧や動脈硬化がリスク因子となる。走行パターンや左右分布に個体差があり、側副血行路の発達度合いも変異する。
概要
内側枝(橋動脈の)(Rami mediales arteriae pontis/paramedian pontine branches)は、主として**脳底動脈(a. basilaris)**の橋部から分岐する穿通枝群で、橋腹側(basis pontis)から橋被蓋(tegmentum pontis)へ向かって深部へ入る。いわゆる傍正中(paramedian)穿通動脈として、橋正中~傍正中領域の栄養を担う。(Standring, 2021;Rhoton, 2000)
起始・走行・到達層(浅層→深層)
起始
- 多くは脳底動脈の橋部から分岐する。分岐部位は橋の上・中・下部に分布し、枝の太さと本数には個体差が大きい。(Rhoton, 2000)
- 一部の傍正中領域は、近傍の**短回旋枝(short circumferential branches)や前下小脳動脈(AICA)**の穿通枝が寄与することがあるため、境界領域が生じうる。(Standring, 2021)
走行(解剖学的肢位での表現)
- 前方(腹側)の脳底動脈から出て、橋腹側表面の傍正中部より後方(背側)へ直進性に穿通する。
- 典型的には、橋腹側の線維束(皮質脊髄路・皮質橋路)を貫きながら、深部で橋核/内側毛帯(medial lemniscus)/被蓋の網様体などへ到達する。(Standring, 2021)
変異・分布
- 右左の枝数が非対称なことがある。ある枝の支配域が大きい場合、近傍枝の支配域が相対的に狭くなるなど、territorial variabilityがある。(Rhoton, 2000)
- 分岐直後に複数の小枝へ分かれる型、長い単幹で深部まで到達してから分岐する型などの走行パターンがある。(Rhoton, 2000)
栄養領域(主な灌流構造)
内側枝(傍正中橋枝)の灌流は、概ね以下の「腹内側→被蓋内側」成分を中心とする(レベルにより差)。
- 橋腹側(basis pontis):橋核、横走線維、皮質橋路(corticopontine fibers)(Standring, 2021)
- 錐体路成分:皮質脊髄路(corticospinal tract)、皮質延髄路(corticobulbar tract)(Standring, 2021)
- 内側毛帯(レベルにより一部)(Standring, 2021)