後下小脳動脈

後下小脳動脈(PICA)は、以下の特徴を持つ重要な血管です:

後下小脳動脈の分岐パターンには変異があり:

この動脈は小脳の血液供給において重要な役割を果たしています。

J567.png

J0567 (脳底の動脈)

J570.png

J0570 (脳を取り除いた後の頭蓋内の大きな脳動脈の位置:左側からの右頭蓋の図)

J571.png

J0571 (脳を取り除いた後の頭蓋内の大きな脳動脈の位置:頭蓋骨の上方からの図)

日本人のからだ(後藤 昇・国府田 稔 2000)によると

大後頭孔付近の椎骨動脈から分岐することが多いですが、時々、脳底動脈か上部椎骨動脈から直接分岐することもあります。これは前下小脳動脈との共通枝として起こることもあります。国府田・後藤の100例の調査では、脳底動脈からの共通枝は右40%、左46%でした。また、小脳前下面で大きなループを描く動脈が脳底動脈または椎骨動脈の枝として分岐する例も多く見られます。この形態の小脳動脈では、小脳の前下面と後下面が共通の枝で供給され、前下あるいは後下小脳動脈の名称が適用できないため、「下小脳動脈」と命名すべきだと考えられます。比較的まれですが、脊椎管の上端で椎骨動脈から分岐し、大後頭孔を通じて頭蓋腔に入るケースも存在します。どの分岐形態でも、後下小脳動脈は延髄の背面を上行し、小さな小脳核枝を歯状核に送ります。さらに、主幹は3つの枝に分かれ、外側枝と中間枝は小脳半球に、内側枝は小脳虫部に分布します。