鳥距枝(内側後頭動脈の) Ramus calcarinus arteriae occipitalis medialis

大脳半球内側面の動脈
鳥距枝(内側後頭動脈)は後大脳動脈の分枝で、鳥距溝に沿い一次視覚野へ血液を供給し、閉塞すると対側半盲が起こるが中心視野は保たれることが多い。
解剖学(起始・走行・分布)
鳥距枝(calcarine branch)は、後大脳動脈(posterior cerebral artery: PCA)の皮質枝のうち、鳥距溝(calcarine sulcus)に沿って走行し、一次視覚野(V1;Brodmann 17野)を中心とする内側後頭葉へ灌流する枝である(Standring, 2021;Rhoton, 2002)。
本ページ名の「内側後頭動脈(medial occipital artery)」は、PCAの後頭葉皮質枝をまとめて記載する文献・図譜で用いられることがあり、その主要枝の一つとして鳥距枝が位置づけられる(Rhoton, 2002)。
起始
- 典型的には、PCAの**P3(四丘体部/quadrigeminal segment)〜P4(皮質部/cortical segment)**で、後頭葉内側面へ向かう皮質枝として分岐する(Rhoton, 2002)。
- 同領域には**頭頂後頭動脈(parieto-occipital artery)**なども並走し、内側後頭葉の灌流領域は相互に重なり得る(Standring, 2021)。
走行と周囲関係(内側面のランドマーク)
- 内側面で鳥距溝に沿って前後方向に走行し、溝の上下(楔部 cuneus と舌状回 lingual gyrus)に分枝を与える(Standring, 2021)。
- 鳥距溝周辺は視覚皮質の機能局在が明瞭で、溝周囲の皮質がV1の解剖学的指標となる(Adams & Victor, 2019)。
灌流領域(皮質機能局在との対応)
- 主として**一次視覚野(V1)**を灌流し、加えて視覚連合野(18・19野)の一部にも血流を供給し得る(Adams & Victor, 2019;Standring, 2021)。
- 視野表現(retinotopy)の観点では、後頭極(occipital pole)付近が中心視(黄斑)に対応し、鳥距枝の末梢灌流と他枝(頭頂後頭動脈など)との重なりが、臨床像に影響する(Caplan, 2016)。
交通・吻合と変異
- PCA皮質枝間(鳥距枝—頭頂後頭動脈)での吻合、および後頭極付近での枝の重なりにより、虚血時に症状の出方が変わる(Rhoton, 2002)。
- PCA自体は**胎児型PCA(fetal-type PCA)**などの変異があり、起始(内頚動脈優位)や血行力学が変化すると、後頭葉梗塞のリスクプロファイルが変わり得る(Standring, 2021;Caplan, 2016)。
臨床統合(症候→画像→介入)