外側後頭動脈の後側頭枝 Rami temporales posteriores arteriae occipitalis lateralis
解剖学的特徴
- 外側後頭動脈から分岐する重要な血管枝であり、側頭葉後部および後頭葉領域への主要な血液供給を担う (Rhoton, 2002)。
- 直径は通常0.5-1.0mm程度であり、その走行は比較的一定している (Yasargil, 1984)。
- 硬膜を貫通した後、軟膜動脈となって皮質表面を走行する (Duvernoy et al., 1981)。
血管支配領域
- 側頭葉後部の外側面および下面を支配する (Lasjaunias and Berenstein, 1987)。
- 後頭側頭回(紡錘状回を含む)への血液供給を担当する (Ono et al., 1990)。
- 舌状回への分枝は、視覚認知に重要な領域を栄養する (Tatu et al., 2012)。
血管吻合
- 中大脳動脈の側頭枝と豊富な吻合を形成し、側副血行路としての機能を有する (Margolis et al., 1971)。
- 後大脳動脈の枝とも吻合があり、血行動態の維持に寄与している (van der Zwan et al., 1993)。
臨床的意義
- 脳血管障害時には、側副血行路として重要な役割を果たす (Yamamoto et al., 1998)。
- 血管撮影において、重要な指標として確認される (Osborn, 2016)。
- 側頭葉後部の手術時には、損傷に特に注意を要する血管である (Sekhar and Fessler, 2006)。
病理学的考慮
- 動脈瘤の発生は稀であるが、血管奇形の一部として関与することがある (Lawton et al., 2019)。
- 閉塞時には、視覚認知障害や記憶障害などの症状を引き起こす可能性がある (Brodal, 2016)。
参考文献