外側後脈絡叢枝(後大脳動脈の) Rami choroidei posteriores laterales arteria cerebri posterioris

小脳、脳幹、視床、線条体の動脈

後大脳動脈
外側後脈絡叢枝は後大脳動脈の主要分枝で、直径0.5‑1 mmの蛇行した血管が側脳室下角から脈絡叢全体へ血液を供給し、視床外側部や外側膝状体にも枝を送る。臨床的には脳動脈瘤や腫瘍の血管供給源となり、破裂は側脳室内出血を引き起こすため、術前の塞栓術の重要ターゲットとなる。
解剖学的詳述(外側後脈絡叢枝/外側後脈絡叢動脈)
1) 定義と位置づけ
外側後脈絡叢枝(posterior lateral choroidal branches / posterior lateral choroidal artery;ラテン語:Rami choroidei posteriores laterales)は、**後大脳動脈(posterior cerebral artery; PCA)の後方循環に属する分枝群で、主として側脳室下角(側頭角)〜体部の脈絡叢(choroid plexus)**を灌流する。一般に、PCA 近位部(P2 付近)から複数本として起こり、外側膝状体(lateral geniculate body)・視床外側部・海馬傍回周辺などへ細枝を送りつつ、脈絡裂(choroidal fissure)を通って脳室内の脈絡叢に到達する(Standring, 2021;Rhoton, 2002)。
2) 起始(起こり方)と走行
- 起始:多くは PCA の **P2(脚間槽〜迂回槽)領域から起こるが、P1–P2 移行部や P3 からの起始もあり得る。しばしば複数本(2–6本程度)**として分岐し、径は細い(Rhoton, 2002)。
- 走行の概略:迂回槽(ambient cistern)周辺で後方へ向かい、脈絡裂(海馬・視床の縁に沿う裂隙)に近づく。ここで脳室内に入る枝(脈絡叢枝)と、外側膝状体/視床外側の実質枝に分かれる。脈絡叢枝は側頭角〜体部の脈絡叢へ連続し、前方では**前脈絡叢動脈(anterior choroidal artery; AChA)**と吻合しうる(Standring, 2021;Osborn, 2018)。
3) 灌流領域(支配領域)
- 脈絡叢:側脳室下角(側頭角)〜体部の脈絡叢の主要栄養。
- 深部実質:外側膝状体、視床外側核群、視床放線(とくに後部)に向かう細枝を介して、視放線近傍に虚血を生じ得る(Osborn, 2018)。
- 周辺構造との関連:脈絡裂に近接するため、海馬・海馬傍回・側頭葉内側面に近い走行関係をとることがある(Rhoton, 2002)。
4) 変異・吻合
- 本数の変異:単一の太い幹として見える場合と、微小な枝の束として見える場合がある。
- AChA との境界:脈絡叢の前方(側頭角前方)では AChA、後方〜体部では後脈絡叢動脈系(外側後・内側後)が優位になりやすいが、個体差が大きい(Standring, 2021)。
- **内側後脈絡叢動脈(medial posterior choroidal artery)**との分担:第三脳室脈絡叢や松果体部周辺は内側後が主体となることが多い(Rhoton, 2002)。
臨床統合
1) 症候と病態(虚血・出血)
- 虚血:外側膝状体や視床外側が関与すると、視野障害(同名半盲〜視野欠損の変動)や、視床病変に伴う感覚障害を呈しうる。脈絡叢自体の虚血は症候が乏しいこともあるが、近接する深部構造の虚血で症状が出る(Osborn, 2018)。