大脳動脈輪(ウィリスの動脈輪とも呼ばれる)は、脳底部で内頚動脈と椎骨動脈の枝が連絡し、輪状または六角形の動脈吻合を形成する構造です。以下がその主な特徴です:
この構造は1664年にイギリスの医学者Thomas Willis (1621-1675)によって発表されました。
日本人のからだ(後藤 昇・国府田 稔 2000)によると
(1)基本型(図30, 31, 32)
脳底部動脈系は、内頚動脈と椎骨動脈からの4本の流入路と、脳底部大脳動脈輪などの側副血行路から成り立っています。これらからは多数の分岐が生じ、脳の内部に動脈を供給しています。また、一部は眼窩、前額、内耳に分布しています。
詳しく脳底部のクモ膜下腔の動脈系を観察してみても、何が基本型であるかは明確ではありません。しかし、教科書などに描かれるものを基本型と考えています。Hasebe(1928)の日本人83例の解剖例では、全例の略図を示しているだけで、分類などは行われていません。内頚動脈系と椎骨動脈系は、トルコ鞍の上方で漏斗を囲むように動脈性吻合を形成しています。これを大脳動脈輪(Willis)と呼びます(後藤,1998)。
図30 脳底部の動脈系の例
図31 脳底部の動脈系本幹の基本型(後藤,1971a)