基本構造と機能
血液供給と変異
主な解剖学的変異
日本人のからだ(後藤 昇・国府田 稔 2000)によると
(1)基本型(図30, 31, 32)
脳底部動脈系は、内頚動脈と椎骨動脈からの4本の流入路と、脳底部大脳動脈輪などの側副血行路から成り立っています。これらからは多数の分岐が生じ、脳の内部に動脈を供給しています。また、一部は眼窩、前額、内耳に分布しています。
詳しく脳底部のクモ膜下腔の動脈系を観察してみても、何が基本型であるかは明確ではありません。しかし、教科書などに描かれるものを基本型と考えています。Hasebe(1928)の日本人83例の解剖例では、全例の略図を示しているだけで、分類などは行われていません。内頚動脈系と椎骨動脈系は、トルコ鞍の上方で漏斗を囲むように動脈性吻合を形成しています。これを大脳動脈輪(Willis)と呼びます(後藤,1998)。
図30 脳底部の動脈系の例