中心溝動脈 Arteria sulci centralis

中大脳動脈皮質枝.png

中大脳動脈の皮質枝

解剖学(起始・走行・分布)

中心溝動脈(artery of central sulcus, arteria sulci centralis)は、一般に中大脳動脈(MCA)上行枝群の皮質枝の一つとして、外側溝周囲から上方へ走行し、**中心溝(Roland溝)周辺の皮質(一次運動野・一次体性感覚野)**へ血流を供給する(Rhoton, 2002)。

MCA皮質枝は、前頭葉外側面・頭頂葉外側面へ向かう複数の枝(前中心溝域、中心溝域、後中心溝域など)に整理され、中心溝動脈はその中で中心溝近傍の皮質を選択的に灌流しうる(Rhoton, 2002)。また、中心溝周辺の皮質への灌流は、皮質枝間の吻合(特に前大脳動脈領域との境界域を含む)によって一定の代償性を持つ一方、枝の本数・太さ・起始部位には個体差が大きい(Standring, 2021)。

臨床(脳梗塞・症候・画像診断)

中心溝周囲(前中心回・後中心回)は運動および体性感覚の一次中枢を含むため、この領域の皮質枝梗塞は対側上下肢の運動麻痺限局した感覚障害を来しうる(Caplan, 2016)。とくに皮質枝梗塞では、内包梗塞のような純粋運動片麻痺と異なり、皮質症候(失行、皮質性感覚障害、場合により失語など)を伴う可能性がある(Caplan, 2016)。

画像診断では、急性期MRI拡散強調画像で中心溝周辺の皮質に限局する高信号として描出され、MRA/CTAでM2〜M4レベルの分枝閉塞や狭窄、あるいは塞栓源検索(心原性、頸動脈病変など)を合わせて検討する(Caplan, 2016)。

外科・手技(機能温存の観点)

中心溝周辺は機能局在が明確である一方、表在静脈や皮質枝の走行変異も多く、腫瘍・血管障害・てんかん外科などでの到達では、術前機能画像(fMRI、MEG)や術中マッピングと併せて、皮質枝温存を意識した操作が重要になる(Standring, 2021; Rhoton, 2002)。

参考文献

東洋医学との関連(鍼灸・漢方)