外側前頭底動脈 Arteria frontobasalis lateralis

中大脳動脈皮質枝.png

中大脳動脈の皮質枝

解剖学的構造(外側前頭底動脈)

外側前頭底動脈(lateral frontobasal artery)は、前頭葉眼窩面・前頭底部(frontobasal region)を灌流する皮質枝群の一つとして扱われることが多く、実臨床では「中大脳動脈(MCA)の眼窩前頭枝(orbitofrontal artery)や前頭極枝(frontopolar branch)などの変異」を含む形で理解される(Rhoton, 2002)。

隣接血管との関係(MCA・ACAとの境界)

前頭底部は、MCA系皮質枝(眼窩前頭枝など)と、ACA系皮質枝(眼窩前頭枝・前頭極枝・胼胝体周囲枝の皮質枝)とが近接し、領域によって灌流がオーバーラップしうる(Standring, 2021)。そのため、画像上は「外側前頭底動脈」と記載されていても、実際にはMCA優位かACA優位かの評価が重要になる(Rhoton, 2002)。

臨床的意義

1) 脳動脈瘤・クリッピング/血管内治療

MCA分岐部(M1–M2)近傍は動脈瘤好発部位であり、皮質枝温存のためには眼窩前頭枝を含む前頭底部灌流枝の同定が重要になる(Rhoton, 2002)。術中にこれらの皮質枝を損傷または閉塞すると、前頭葉底面の梗塞を来し、人格変化、実行機能障害、嗅覚障害などの前頭葉症状が問題となりうる(Moore et al., 2023)。

2) 虚血性脳卒中(前頭底部梗塞)

前頭底部の限局梗塞は、梗塞巣が小さい場合でも注意・遂行機能や社会的認知に影響しうるため、血管支配(MCA皮質枝かACA皮質枝か)を踏まえた病巣解釈が必要となる(Moore et al., 2023)。MCA系の前頭底部枝の閉塞は、シルビウス裂領域の枝閉塞を伴うこともあり、臨床像が多彩になり得る(Standring, 2021)。

3) 前頭蓋底・眼窩周囲の手術(腫瘍・外傷)

前頭蓋底や眼窩周囲の外科的アプローチでは、前頭底面の皮質血流保持が術後の高次脳機能転帰に影響し得るため、前頭底部灌流枝の走行を術前画像で把握する意義がある(Standring, 2021)。

参考文献(Harvard)