上終末枝(中大脳動脈の) Rami terminales superiores arteria cerebri medii

内頚動脈.png

右の内頚動脈(前方から見た図)

中大脳動脈の上終末枝(M4区)はシルビウス裂から伸び、皮質上部へ血液を供給する細い血管群で、外側眼窩前頭動脈、前頭前野動脈、中心前溝・後溝動脈、前頭頂・後頭頂動脈などが含まれる。これらの閉塞は対応領域の運動、感覚、遂行機能や視空間認知障害を引き起こし、血管攣縮や塞栓による急性閉塞は重篤な脳梗塞リスクが高い。画像診断では血管造影が最も有用で、MRAやCTAでも確認できるが末梢枝の評価は限られる。

概要(Terminologia Anatomica / 英名・ラテン語)

中大脳動脈(middle cerebral artery; MCA)の皮質枝のうち、シルビウス裂(外側溝)から外側大脳半球の凸面へ出て、前頭葉・頭頂葉外側面を灌流する「上皮質枝(superior cortical branches)」に相当する末梢枝群を指す。臨床・画像ではしばしば MCA の M4(cortical)セグメントとして扱われ、M1(水平部)→M2(島部)→M3(弁蓋部)→M4(皮質部)という区分の末梢側に位置づけられる(Moore et al., 2023; Gray’s Anatomy, 2020)。

走行と層構造(浅層→深層で把握)

  1. 外側溝内(深部):MCA は外側溝内を走行し、島(insula)表面で分枝する。
  2. 弁蓋(operculum)周囲:前頭弁蓋・頭頂弁蓋・側頭弁蓋の縁を回り、くも膜下腔で弁蓋を越える。
  3. 皮質表面(凸面):皮質表面のくも膜下腔を走って、各皮質領域に終末的に分布する(Gray’s Anatomy, 2020)。

主な分枝(上終末枝に含めて把握されやすい枝)

文献・教科書により呼称は揺れるが、上方(上皮質)へ向かう代表枝として以下をまとめて把握すると臨床上有用である(Gray’s Anatomy, 2020; Moore et al., 2023)。

※これらは、中心溝周囲(一次運動野・一次体性感覚野)、前頭前野、頭頂連合野などの機能局在と直結するため、「どの皮質領域が虚血になるか」で症候を想起できるよう整理する。

灌流領域と機能局在(症候と結びつける)

上終末枝(上皮質枝)は主に 外側面の前頭葉〜頭頂葉を灌流し、特に以下の機能局在の虚血で症候が出やすい(Adams & Victor’s, 2019)。