中大脳動脈の角回枝 Ramus gyri angularis arteria cerebri medii
基本情報
- 中大脳動脈の角回枝は、中大脳動脈の皮質枝の一つで、大脳皮質への重要な血液供給路である (Osborn, 2016)。
解剖学的特徴
- 外側裂(シルビウス裂)の最後部から分岐する末梢枝である (Rhoton, 2002)。
- 上側頭回の上を後方へ走行し、角回を経て後頭葉へ到達する (Ture et al., 2000)。
- 中大脳動脈後枝の主要な分枝の一つとして、他の皮質枝と吻合を形成する (Gibo et al., 1981)。
血液供給領域
- 上側頭回後部、縁上回、角回、後頭葉外側面の一部を灌流する (Tatu et al., 2012)。
- 言語機能(特に読字)に関与する角回への主要な血液供給源である (Mendoza and Foundas, 2007)。
臨床的意義
- 角回枝の閉塞により、失読(アレキシア)や視覚性失名辞などの症状が出現することがある (Damasio and Damasio, 1983)。
- 優位半球(多くは左半球)での障害は、言語機能に重大な影響を及ぼす可能性がある (Geschwind, 1965)。
- 脳梗塞の好発部位の一つであり、神経学的診察において重要な血管である (Bogousslavsky and Caplan, 2001)。
血管撮影所見
- 側面像で中大脳動脈の後方に向かう特徴的な走行を示す (Osborn, 2016)。
- 脳血管造影検査で明確に同定可能な主要な皮質枝である (Lasjaunias et al., 2001)。
参考文献
- Bogousslavsky, J. and Caplan, L., 2001. Stroke syndromes. Cambridge University Press.
- Damasio, A.R. and Damasio, H., 1983. The anatomic basis of pure alexia. Neurology, 33(12), pp.1573-1573.