前外側中心動脈 Arteriae centrales anterolaterales

右の内頚動脈(前方から見た図)

小脳、脳幹、視床、線条体の動脈
前外側中心動脈(外側線条体動脈)は中大脳動脈M1部から分岐し、約2〜12本(平均8本)の細い穿通枝として、被殻・尾状核頭部・淡蒼球外節・内包前後脚背側部に血液を供給する。直径0.1〜1.3 mm、走行長さ2〜4 cmで、高血圧性脳出血やラクナ梗塞の好発部位となり、閉塞時に虚血に弱い特徴がある。
概要(Terminologia Anatomica / 用語)
- 前外側中心動脈(Arteriae centrales anterolaterales)は、臨床的には 外側線条体動脈(lenticulostriate arteries)として扱われることが多い穿通枝群である。(Standring, 2021)
- 主として 中大脳動脈(MCA)M1 部から多数の細い穿通枝として分岐し、側脳室前角〜体部の外側に位置する 基底核・内包領域へ向かう。(Moore et al., 2023)
- いわゆる「中心動脈(central arteries)」は 皮質枝と異なり、くも膜下腔から脳実質内へ直入するため、側副血行が乏しく、閉塞や破綻の臨床影響が大きい。(Standring, 2021)
起始・分岐パターン(MCA M1 と関連ランドマーク)
起始
- 典型的には **MCA の M1(水平部)**の上面〜後外側面から、2〜10本以上の穿通枝が扇状に分岐する。(Standring, 2021)
- 近傍ランドマークとして、M1 は **視索(optic tract)**の外側、**前有孔質(anterior perforated substance)**の上方を走行し、外側線条体動脈はこの 前有孔質を穿通して脳実質へ入る。(Moore et al., 2023)
分岐の変異と臨床的含意
- 本数・太さ・起始位置の個体差が大きく、穿通枝の優位枝がどの核・内包領域を担当するかは可変である。(Standring, 2021)
- M1 近位で分岐するタイプでは、M1閉塞やM1部動脈瘤の治療(クリッピング/コイル/ステント)で穿通枝の虚血リスクが高まる。(Osborn, 2018)
走行(表層→深部の層構造で)
- くも膜下腔(M1周囲)でMCA壁から分岐
- 前有孔質を通って穿通(ここが「穿通枝」たる所以)
- 基底核領域(被殻・尾状核頭部・淡蒼球外節など)へ進入
- 一部はさらに内側へ向かい **内包(前脚〜膝〜後脚の上部)**の白質に分布する(ただし供給の中心は内包上部であり、後脚のより下方や放線冠は他の穿通枝・深部髄質枝の寄与も受ける)。(Standring, 2021; Moore et al., 2023)
支配領域(灌流テリトリー)