大口蓋動脈 Arteria palatina major

J0562 (頭蓋と鼻腔の動脈、右半分、内側からの図)

J0563 (鼻中隔の動脈:左方からの図)

J0640 (頭部の前頭断、後方からの図)

J0673 (口蓋:粘膜を取り除いた後に下方からの図)
解剖学的特徴
- 大口蓋動脈は、顎動脈の分枝である下行口蓋動脈(descending palatine artery)の主要な終枝として分岐する (Standring, 2020)。
- 翼口蓋窩から発し、大口蓋管(greater palatine canal)を通過して硬口蓋に至る (Drake et al., 2019)。
- 硬口蓋を前方に進み、切歯管を通って鼻腔底に達する (Netter, 2018)。
- 終末部では鼻中隔後方動脈と吻合する (Standring, 2020)。
血液供給領域
- 硬口蓋の粘膜と骨膜に広範囲に分布する (Moore et al., 2022)。
- 上顎歯肉の口蓋側への血液供給を担う (Drake et al., 2019)。
- 口蓋腺への栄養供給も行う (Netter, 2018)。
臨床的意義
- 口蓋裂手術において重要な解剖学的指標となり、手術計画や血管温存に配慮が必要である (Berkowitz, 2021)。
- 硬口蓋における歯科処置や口腔外科手術の際に損傷するリスクがあり、術中の出血管理が重要となる (Moore et al., 2022)。
- 口蓋局所麻酔(大口蓋神経ブロック)の際に目標となる解剖学的構造物であり、大口蓋孔の位置確認が必須である (Malamed, 2019)。
- 大口蓋孔は第二大臼歯の口蓋側付近に位置し、臨床的に重要な指標となる (Standring, 2020; Tomaszewska et al., 2014)。
- 大口蓋動脈の直径は約1-2mmであり、術中の血管同定には拡大視野が有用である (Erdogan et al., 2013)。
解剖学的変異
- 左右非対称の走行を示すことがあり、個体差が大きい (Drake et al., 2019)。
- 口蓋内での分枝パターンには個体差が認められ、3-5本の主要分枝を持つことが多い (Moore et al., 2022; Tomaszewska et al., 2014)。