副硬膜枝(中硬膜動脈の) Ramus accessorius arteriae meningea media
解剖学的特徴
- 側頭下窩において、中硬膜動脈または上顎動脈から分岐する血管 (Martins et al., 2015)。
- 卵円孔(foramen ovale)を通過し、頭蓋内へ入り、上方へ走行する (Gray, 2020)。
- 直径は約0.5〜1.0mmで細い血管だが、重要な経路となる (Lasjaunias and Berenstein, 2001)。
- 中硬膜動脈の主幹と平行して走行することが多い (Tubbs et al., 2019)。
血液供給部位
- 三叉神経節(Gasserian ganglion)に豊富な血液を供給する (Lang, 2001)。
- 硬膜の前頭蓋窩部分、特に中頭蓋窩の内側部に分布する (Standring, 2021)。
- 骨膜および頭蓋骨内面に微細な枝を送る (Tanoue et al., 2013)。
- 時に下垂体にも細い枝を供給することがある (Kilic and Akakin, 2008)。
臨床的意義
- 頭部外傷時に損傷を受けると、硬膜外血腫の原因となることがある (Wanibuchi et al., 2009)。
- 三叉神経痛の血管減圧術において、重要な解剖学的指標となる (Arishima et al., 2016)。
- 脳血管内治療において、塞栓物質の迷入に注意が必要な血管である (Geibprasert et al., 2009)。
- 頭蓋底手術時に損傷すると、三叉神経領域の虚血を引き起こす可能性がある (Kawase et al., 2012)。
解剖学的変異
- 約15%の症例で欠損していることがある (Osborn, 1999)。
- 稀に正円孔(foramen rotundum)を通過する変異が報告されている (Yu et al., 2016)。
- 大きさが通常より発達し、中硬膜動脈の主幹に匹敵する症例もある (Manjunath, 2001)。