前鼓室動脈 Arteria tympanica anterior

J0561 (顔の深部動脈:右側からの図)

J0562 (頭蓋と鼻腔の動脈、右半分、内側からの図)

J0564 (頚深部の動脈、右方からの図)
前鼓室動脈の解剖学的特徴
- 基本名称:前鼓室動脈(Arteria tympanica anterior)。
- 起始:顎動脈の基部から分岐し、下顎骨の下顎孔付近から出る (Standring, 2020)。
- 走行:蝶下顎裂を通って中頭蓋窩に入り、鼓室に達する (Moore et al., 2018)。
- 分布領域:鼓膜、鼓室粘膜、耳小骨靭帯、鼓索神経 (Netter, 2019)。
- 太さ:細動脈レベルで、直径は約0.5mm程度 (Drake et al., 2020)。
血管連絡
- 内頚動脈の鼓室枝と吻合を形成する (Standring, 2020)。
- 上行咽頭動脈の鼓室枝と吻合し、鼓室内に血管網を形成する (Schuenke et al., 2016)。
- 後耳介動脈および中硬膜動脈の鼓室枝とも連絡がある (Moore et al., 2018)。
発生学的特徴
- 第一鰓弓動脈の遺残物に由来する (Sadler, 2019)。
臨床的意義
- 中耳炎時に充血し、炎症の波及経路となりうる (Flint et al., 2021)。
- 鼓室形成術や鼓室硬化症の手術時に損傷すると、出血の原因となる (Gulya et al., 2020)。
- 顎動脈塞栓術の際に偶発的に塞栓される可能性があり、一時的な聴力低下を引き起こすことがある (Jayaraman et al., 2017)。
- 稀に異常拡張や蛇行を呈し、拍動性耳鳴の原因となることがある (Sismanis, 2016)。
参考文献