浅側頭動脈の頭頂枝 Ramus parietalis arteriae temporalis superficialis

J0559 (顔面表層の動脈:右側からの図)

J0560 (頭蓋骨の動脈、頭蓋骨の上方からの図)
解剖学的特徴
起始と走行
- 浅側頭動脈の後方終枝として、耳介上方で分岐する(Moore et al., 2018; Standring, 2020)
- 通常、前頭枝よりも太い血管であり、浅側頭動脈の主要な終枝の一つである(Gray, 2021)
- 側頭筋膜の浅層(superficial temporal fascia)上を後上方に向かって走行する(Standring, 2020)
- 耳介上方から頭頂部に向けて蛇行しながら上行し、頭蓋骨外層の軟部組織に分布する(Moore et al., 2018)
分布領域
- 頭頂部の皮膚、皮下組織、帽状腱膜(galea aponeurotica)に栄養血管として分布する(Standring, 2020)
- 側頭部から頭頂部にかけての広範な領域をカバーする(Gray, 2021)
- 頭皮の豊富な血管網の形成に寄与し、頭皮の優れた創傷治癒能力の解剖学的基盤となる(Moore et al., 2018)
吻合
- 頭頂部において対側の同名動脈(対側の頭頂枝)と吻合を形成する(Standring, 2020)
- 前方では前頭枝および眼窩上動脈と連絡する(Gray, 2021)
- 後方では後耳介動脈および後頭動脈と吻合する(Moore et al., 2018)
- これらの吻合により、頭皮に豊富な側副血行路が形成され、頭皮の血液供給の安定性が保たれる(Standring, 2020)
血管の構造
- 比較的太い動脈であり、表在性に走行するため触知可能である(Moore et al., 2018)
- 耳介前方では拍動を触知でき、臨床的に重要な解剖学的ランドマークとなる(Gray, 2021)