耳介枝(後頭動脈の) Ramus auricularis arteriae occipitalis
解剖学的位置と特徴
- 外頸動脈の分枝である後頭動脈から分岐する主要な動脈枝である (Standring, 2020)。
- 後頭動脈の上行経路の中で、胸鎖乳突筋の深層を斜走する (Drake et al., 2019)。
- 乳様突起の後方に位置し、耳介軟骨の下部で表層化する。
- 直径は約0.5〜1.0mmであり、比較的細い血管である (Tubbs et al., 2018)。
機能と分布
- 耳介後面および側頭部後下方領域への血液供給を担う (Moore et al., 2022)。
- 耳介後部の皮膚、結合組織、および軟骨膜に分布する。
- 側頭骨乳様部周囲の骨膜にも細枝を送る (Netter, 2019)。
血管吻合
- 後耳介動脈(外頸動脈の直接分枝)と豊富な吻合を形成する (Standring, 2020)。
- 浅側頭動脈の耳介枝とも吻合し、耳介周囲の側副循環を構成する (Drake et al., 2019)。
臨床的意義
- 頭頸部外科手術の際に考慮すべき重要な血管である (Vianna et al., 2021)。
- 耳介後方切開時の出血源となり得るため、注意が必要である。
- 後頭部・耳介後方の血管腫や動静脈奇形の栄養血管となることがある (Kenan et al., 2018)。
- 片頭痛や群発頭痛などの頭痛疾患の治療として、後頭神経ブロック施行時に考慮すべき血管である (Dodick et al., 2019)。
発生学
- 第二鰓弓動脈の遺残物から発生する (Larsen et al., 2021)。