乳突枝(後頭動脈の) Ramus mastoideus arteriae occipitalis

J0561 (顔の深部動脈:右側からの図)

J0562 (頭蓋と鼻腔の動脈、右半分、内側からの図)
解剖学的構造
- 外頸動脈の分枝である後頭動脈から分岐する重要な血管枝である (Gray and Standring, 2021)。
- 乳突孔(foramen mastoideum)を通過して頭蓋内に入り、後頭蓋窩の硬膜に分布する (Netter, 2018)。
- 走行中に側頭骨乳突部の乳突蜂巣に小枝を派生させる (Moore et al., 2022)。
- 直径は約0.5〜1.0mmで、走行距離は個体差があるが通常2〜4cm程度である (Standring, 2020)。
血管連絡と機能
- 中硬膜動脈(middle meningeal artery)の枝と吻合を形成し、側副血行路として機能する (Tubbs et al., 2019)。
- 側頭骨乳突部への主要な血液供給源として、乳突蜂巣の粘膜や骨組織の栄養を担当する (Ellis et al., 2020)。
- 後頭蓋窩硬膜への血流を維持し、硬膜の代謝と機能を支える (Chung and Spetzler, 2023)。
臨床的意義
- 乳突洞炎や乳様突起炎などの側頭骨感染症の際に、炎症の波及経路となることがある (Yildirim et al., 2018)。
- 乳突削開術などの側頭骨手術において、出血源となる可能性があるため注意が必要である (Kim et al., 2021)。
- 頭部外傷、特に側頭骨骨折において損傷を受けることがあり、硬膜外・硬膜下血腫の原因となりうる (Lee and Chen, 2022)。
- 血管造影検査において、後頭動脈の分枝パターンを評価する際の指標となる (Osborn, 2019)。
解剖学的変異
- 約15%の症例では乳突枝が欠損しており、その場合は後頭動脈の他の枝が代償的に発達する (Adeeb et al., 2020)。
- 稀に後頭動脈ではなく、後耳介動脈から分岐する変異が報告されている (Kawashima et al., 2019)。
進化的側面