上行口蓋動脈 Arteria palatina ascendens

基本的特徴

解剖学的特徴

終末分布

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J0558 (喉頭と舌の動脈:右側からの図)

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J0564 (頚深部の動脈、右方からの図)

日本人のからだ(児玉公道 2000)によると

上行口蓋動脈と上行咽頭動脈

上行口蓋動脈と上行咽頭動脈の起始、走行、分布について、123体の242側を調査しました。上行口蓋動脈の起始は、従来の分類方法に従うと、顔面動脈から出るものが177例(73.1%)、外頚動脈から出るものが57例(23.5%)、その他顔面動脈と舌動脈の共同幹や、舌動脈、オトガイ下動脈などから出るものが6例(2.5%)となりました。Adachi(1928)の結果と大きな差はありませんでした。

しかし視点を変えて、時々出現する顔面動脈が高位で分岐する例に注目し、そのような例と通常例を比較しました。その結果、顔面動脈が起始を高位へ移す例でも、上行口蓋動脈や顎下腺へ分布する顎下腺枝は下位に留まり、通常の位置を保つことがわかりました。これらの観察から、上行口蓋動脈や顎下腺枝、舌動脈が顔面動脈の親動脈となる可能性がある一次的な枝と考えると、上行口蓋動脈の起始を再分類すると、ほとんどの例が4つのグループに大きく分けられました。これらは、起始の距離によってさらに細分化することも可能です(図30参照)。

どちらにしても重要な点は、これら3つの枝が共同幹を形成することがあってもその位置が逆転することはないため、これらの変異型が一つの連続した流れとして認識できることです。