舌骨上枝(舌動脈の) Ramus suprahyoideus (Arteria lingualis)

J0557 (頚部浅層の動脈:右前方からの図)

J0558 (喉頭と舌の動脈:右側からの図)
解剖学的特徴
- 舌動脈の第一分枝として、大角舌骨筋の深部で分岐する(Standring, 2020; 金子, 2002)。
- 舌骨体の上縁に沿って、外側から内側に走行する細い動脈である(Moore et al., 2018)。
- 舌骨上筋群(顎二腹筋前腹、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、茎突舌骨筋)の深部を走行する(Netter, 2019)。
- 正中線を越えて対側の舌骨上枝と吻合し、動脈弓を形成する(Alves & Cândido, 2013)。
- 上甲状腺動脈の舌骨下枝と吻合して、舌骨周囲に血管網を形成する(Standring, 2020)。
機能と血液供給
- 舌骨上筋群への主要な血液供給源となる(Moore et al., 2018)。
- 舌骨体周囲の骨膜および軟部組織に栄養を供給する(金子, 2002)。
- 対側との吻合により、舌骨上部の側副血行路を形成する(Alves & Cândido, 2013)。
臨床的意義
- 頸部手術時の重要な出血源となる可能性があり、特に注意が必要である(Pinar & Govsa, 2006)。
- 舌骨上筋群の血行再建時における重要な指標となる(Moore et al., 2018)。
- 舌癌手術における血管処理において、慎重に考慮すべき分枝である(Standring, 2020)。
参考文献
- Alves N, Cândido PL. Anatomical study of the lingual artery. Int J Morphol. 2013;31(4):1427-1433. ― 舌動脈の解剖学的変異に関する詳細な研究で、分枝パターンの多様性を報告している。
- Moore KL, Dalley AF, Agur AMR. Clinically Oriented Anatomy (第8版). Philadelphia: Wolters Kluwer; 2018. ― 臨床的視点から解剖学を解説した教科書で、頸部血管系の臨床的意義について実践的な情報を提供する。
- Netter FH. Atlas of Human Anatomy (第7版). Philadelphia: Saunders Elsevier; 2019. ― 精密なイラストで知られる解剖学アトラスで、舌動脈の分枝パターンを視覚的に理解するのに最適。