舌骨下枝(上甲状腺動脈の) Ramus infrahyoideus

J0557 (頚部浅層の動脈:右前方からの図)

J0564 (頚深部の動脈、右方からの図)

J0572 (右の鎖骨下動脈:右側からの図)
解剖学的特徴
- 上甲状腺動脈の第一分枝として分岐する細い動脈枝である (Gray and Lewis, 2023)。
- 甲状舌骨筋の深層を前内側から後外側に向かって走行する (Standring, 2024)。
- 舌骨体の下縁に沿って走行し、反対側からの同名枝と正中で吻合を形成する (Moore et al., 2024)。
- 走行中に複数の細枝を分岐させ、周囲組織と吻合網を形成する (Netter, 2023; Drake et al., 2024)。
血管支配領域
- 甲状舌骨筋への主要な栄養血管として機能する (Netter, 2023)。
- 舌骨下部の骨膜および周囲結合組織への血液供給を担う (Standring, 2024)。
- 皮下組織まで枝を送り、頸部前面の血行に寄与する (Drake et al., 2024)。
臨床的意義
- 前頸部手術(甲状腺手術など)の際に損傷を受けやすい血管である (Sinnatamby, 2024)。
- 術中出血の予防のため、上甲状腺動脈の処理時に確実な同定が必要である (Skandalakis et al., 2023)。
- 舌骨下枝の血行障害は、甲状舌骨筋の機能低下や創傷治癒遅延を引き起こす可能性がある (Skandalakis et al., 2023; Moore et al., 2024)。
参考文献
- Drake, R.L., Vogl, W. and Mitchell, A.W.M. (2024) Gray's Anatomy for Students, 5th ed. Philadelphia: Elsevier. ― 医学生向けの解剖学教科書であり、臨床的視点を重視した記述が特徴。本書では上甲状腺動脈とその分枝に関する詳細な解剖学的記述が含まれている。
- Gray, H. and Lewis, W.H. (2023) Gray's Anatomy, 42nd ed. London: Elsevier. ― 解剖学の古典的名著であり、上甲状腺動脈の分枝パターンや舌骨下枝の詳細な記述を提供している。
- Moore, K.L., Dalley, A.F. and Agur, A.M.R. (2024) Clinically Oriented Anatomy, 9th ed. Philadelphia: Wolters Kluwer. ― 臨床応用を重視した解剖学書で、頸部血管の臨床的重要性と手術時の注意点について詳述している。
- Netter, F.H. (2023) Atlas of Human Anatomy, 8th ed. Philadelphia: Elsevier. ― 精密なイラストで知られる解剖学アトラスであり、上甲状腺動脈とその分枝の視覚的理解を助ける。