房室結節は、心房中隔に位置し、田原の結節とも呼ばれる心臓の特殊な筋肉組織です。卵円窩の下方、冠状静脈洞口の前方にあります。洞房結節から筋性に伝搬された刺激を、一定の潜伏時間をおいてHis束およびその脚を通して心室に伝えます。洞房結節が機能的に脱落した場合、房室結節は二次的な刺激形成中枢として心拍動の維持に役立ちます。1901年、九州大学の田原順(1873-1938)は東京帝国大学を卒業し、1903年にドイツに留学しました。彼はアールブルグ大学でアショッフの元で研究を行っていた際、心筋の房室間の刺激伝導路系を発見しました。その起始部の小筋塊を田原結節と命名しました(「Das Reizleitungssystem des Saugetierherzens」、1906年)。帰国後、彼は九州帝国大学の教授になりました。彼の名前は世界的に知られる数少ない日本人の一人です。