半月弁半月（大動脈弁の）Lunulae valvularum semilunarium (Valvae aortae)

J0547 (大動脈弁を広げた図)

解剖学的構造

大動脈弁の半月弁半月（lunules）は、各半月弁尖の自由縁に位置する三日月状の薄い部分です（Anderson et al., 2003）。大動脈弁は3つの半月弁尖（右冠尖、左冠尖、後尖）から構成され、各弁尖の自由縁には両側に半月状の薄い領域が存在します（Schoen, 2005）。

• 弁尖の自由縁の両側に位置する半月状の薄い部分
• 各半月弁尖に2つの半月が存在（合計6つの半月）
• 弁尖の中央部よりも薄く、繊細な構造を持つ
• 弁尖の自由縁に沿って弓状に配置される

組織学的特徴

半月弁半月は、主に緻密な結合組織から構成され、弁尖の他の部分よりも薄い構造を持ちます（Schoen, 2005）。弁尖全体は3層構造（線維層、スポンジ層、心室層）を持ちますが、半月部分では特に薄く、柔軟性が高くなっています（Sacks et al., 2009）。

機能的意義

半月弁半月は、大動脈弁の閉鎖機能において重要な役割を果たします（Otto, 2014）：

• 心室拡張期に、左心室からの逆流を防ぐため、3つの弁尖が中央で接合する際、半月部分が密着して完全な閉鎖を形成
• 薄い構造により、弁尖同士の密着性が向上し、逆流防止効果が高まる
• 弁尖の自由縁の強度を保ちながら、柔軟性を提供
• 弁の開閉運動時の応力分散に寄与（Sacks et al., 2009）

臨床的意義

半月弁半月の病態は、大動脈弁機能不全の原因となります（Nkomo et al., 2006）：