前乳頭筋(左心室の)Musculus papillaris anterior (Ventriculus sinister)

J0537 (左心室における房室束とその分岐)

J0538 (心室の基部と中部の三分の一の間の2つの心臓の収縮期冠状断:長軸に対して垂直に、先端領域からの図)

J0539 (心室の基部と中部の三分の一の間の2つの心臓の拡張期冠状断:長軸に対して垂直に、先端領域からの図)

J0541 (拡張期の心臓:おおよそ横隔面に平行な図)

J0546 (拡大した心臓の左室(左心室):腹部の左側からの図)
解剖学的構造
前乳頭筋は左心室の前外側壁から突出する円錐状の筋性突起で、左心室内の2つの主要な乳頭筋のうちの1つです(Anderson et al., 2000)。もう1つは後乳頭筋(musculus papillaris posterior)です。
位置と形態
- 左心室の前外側壁、心室中隔と前壁の接合部付近に位置します(Gray's Anatomy, 2020)。
- 通常、後乳頭筋よりも大きく、単一の筋束として存在することが多いです(Victor & Nayak, 1994)。
- 基部は左心室壁に広く付着し、先端は自由端となっています(Moore et al., 2018)。
- 長さは約2〜3cm、直径は約1cmです(Rusted et al., 1952)。
血管支配
- 主に左前下行枝(LAD:left anterior descending artery)から栄養を受けます(Voci et al., 1995)。
- 対角枝や左回旋枝からも部分的に栄養される場合があります(James, 1961)。
- 比較的豊富な血液供給を受けるため、後乳頭筋(単一の血管からの栄養)と比較して虚血に対する耐性が高いです(Kaul et al., 1986)。
機能的解剖
- 先端から多数の腱索(chordae tendineae)が放射状に伸びています(Lam et al., 1970)。
- これらの腱索は僧帽弁(二尖弁)の前尖と後尖の両方に付着します(Carpentier et al., 1983)。
- 腱索は一次腱索、二次腱索、三次腱索に分類され、それぞれ弁尖の自由縁、体部、基部に付着します(Lam et al., 1970)。
生理学的機能
僧帽弁の支持と弁閉鎖不全の防止
- 心室収縮期に乳頭筋が収縮することで、腱索を介して僧帽弁尖を適切な位置に保持します(Rushmer et al., 1956)。