前半月弁(肺動脈弁の)Valvula semilunaris anterior (Valva trunci pulmonalis)

J0540 (収縮した心室:心房を除去した後の基盤、弁が閉じている図)
解剖学的構造
前半月弁は肺動脈弁を構成する3枚の半月弁尖のうちの1枚で、肺動脈の起始部に位置します(Anderson et al., 2000)。肺動脈弁の3枚の弁尖は以下の通りです:
- 前半月弁(左半月弁):最も前方に位置し、右心室流出路の前壁から起始します
- 右半月弁:右側に位置します
- 左半月弁:左側に位置します
各半月弁尖は以下の構造的特徴を持ちます(Schoen, 2005):
- 遊離縁:弁尖の自由端で、中央部に小結節(nodulus valvulae semilunaris)を持ちます
- 付着縁:肺動脈壁に付着する部分で、弁輪(annulus fibrosus)を形成します
- 弁尖体:薄い結合組織と内皮細胞から構成され、柔軟性に富みます
- 肺動脈洞(Valsalva洞):各弁尖の背側に形成される拡張部で、弁の開閉をスムーズにします
機能的役割
前半月弁は他の2枚の弁尖と協調して、以下の重要な機能を果たします(Otto, 2013):
- 一方向性血流の確保:心室収縮期に右心室から肺動脈への血液の流出を許可し、心室拡張期には肺動脈から右心室への血液の逆流を防止します
- 弁の開閉機構:収縮期には血流により弁尖が肺動脈壁に押し付けられて開口し、拡張期には肺動脈内の血液が弁尖を押し戻して閉鎖します
- 血行動態の維持:正常な肺循環を維持し、右心室の負荷を適切に保ちます
臨床的意義
前半月弁を含む肺動脈弁の異常は、以下のような病態を引き起こします: