静脈叢 Rete venosum (Venous plexus)

静脈叢とは、相互に連結された静脈のネットワーク構造であり、解剖学的に重要な血管系の一部を形成している(Gray and Lewis, 2020)。これらの静脈叢は、体内の様々な部位に存在し、それぞれ特有の機能と臨床的意義を持っている。

解剖学的特徴

静脈叢は通常、複数の細い静脈が網目状に吻合して形成される。この構造は血流の方向性を多様化させ、一部が閉塞しても側副路として機能できるため、重要な生理学的冗長性を提供している(Standring, 2021)。静脈叢の壁は一般的に薄く、弁構造も少ないか不完全なことが多い。

主要な静脈叢

臨床的意義

静脈叢の異常や疾患は多様な臨床症状を引き起こす。例えば、直腸静脈叢の拡張は痔核を形成し、前立腺静脈叢の異常は前立腺肥大症や前立腺癌の診断・治療に影響を与える(DeWitt and Nambudiri, 2020)。また、脳静脈叢の血栓症は重篤な神経学的症状を引き起こす可能性がある。さらに、椎骨静脈叢は癌の転移経路となることが知られており、特に前立腺癌や乳癌の脊椎転移において重要な経路となる(Batsonの静脈叢)(Batson, 1940; Nathoo et al., 2017)。

これらの静脈叢の詳細な解剖学的理解は、様々な疾患の診断・治療において不可欠であり、特に画像診断や外科的処置の際に重要な指標となる(Berge and Bergman, 2022)。

参考文献