松果体 Glandula pinealis
松果体の基本構造と機能
- 松果体は脳内に位置する小さな内分泌器官で、第三脳室の天井に付着する円錐形の小体である
- 生物学的時計として機能し、メラトニンを分泌して睡眠–覚醒サイクルを調整する
- 光に敏感で、昼夜の変化に応じてホルモン分泌を調整し、性腺発達に抑制的影響を及ぼす
解剖学的特徴
- 松果体は西洋松の実形の不対構造で、視床域後端から四丘板上まで延び、長さ12mm、幅8mm、厚さ4mmである
- 左右の柄(手網)が視床に達し、両側の手網は松果交連または手網交連でつながる
- 内部にしばしば第三脳室の突出部(松果陥凹)が入り込む
石灰化と位置
- 松果体および第三脳室脈絡組織内には、多くの場合「脳砂」と呼ばれる砂状小体が見られる
- 松果体の石灰化は正常な状態でも25.6%~41.6%の頻度で観察され、頭蓋中点から上下5mm以内に100%、前後5mm以内に96%が存在する
関連構造
- 手網と視床の接合部に手網三角があり、手網核という灰白質が存在する。
- 第三脳室脈絡組織は松果体の上面で停止し、これにより松果上陥凹が形成される。
- 松果体および第三脳室脈絡組織内には、多くの場合、脳砂(Acervulus, Hirnsand)が見られ、これはリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどから構成される。

図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの)

図418(第三脳室、大脳基底核と脳幹の一部、四丘体、小脳の上面)

図421(菱形窩の表面像)

図422(脳幹、四丘体付近、菱形窩)

図428(中脳、間脳および尾状核の上方からの図)

図429(脳砂)

図436(脳、水平断面II)

図447(松果体の横断面)
松果体は西洋松の実形の不対構造で、視床域後端にあり、視床より後方に突出し、四丘板上まで延びる。長さ12mm、幅8mm、厚さ4mmで、尖端は後方、底は前方を向く。内部にしばしば第三脳室の突出部(松果陥凹 Recessus pinealis)が入り込む(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) )。左右の柄(手網 Habenula)が視床に達し、髄条に続く。両側の手網は松果交連(Commissura pinealis)または手網交連(Commissura habenularum)でつながる。
手網と視床の接合部に手網三角(Trigonum habenulae)があり、手網核(Nucleus habenulae)という灰白質が存在する(図418(第三脳室、大脳基底核と脳幹の一部、四丘体、小脳の上面) 、図421(菱形窩の表面像) 、図422(脳幹、四丘体付近、菱形窩) 、図428(中脳、間脳および尾状核の上方からの図) 、図436(脳、水平断面II) )。
第三脳室脈絡組織は手網の自由縁ではなく、松果体の上面で停止する。これにより第三脳室の第2の突出部、松果上陥凹(Recessus suprapinealis)が形成される。