下垂体

下垂体は以下の特徴を持つ内分泌腺です:

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J0570 (脳を取り除いた後の頭蓋内の大きな脳動脈の位置:左側からの右頭蓋の図)

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J0605 (右側の海綿静脈洞の冠状断面:背面からの図)

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J0833 (脳幹:脳の正中断面を左側からの図)

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J0834 (脳の底部:下方からの図)

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

日本には下垂体の重量に関するいくつかの報告があります。佐藤ら(1956)の法医解剖体による報告では、生後4〜6年の間に体重比が急激に減少し、思春期前後に再び急激な増加が見られます。身長や体重が大きいほど、下垂体の重量も大きくなる傾向があります。20〜59歳の男性(397例)と女性(179例)の平均重量はそれぞれ0.75g、0.82gで、欧米の数値よりもかなり小さいです。胎児の下垂体の計測については宮下(1954)や森(1958)の報告があり、重量の加齢変化については上井(1970)や嶋田ら(1974)の報告があります。

下垂体のマクロ形態については、日本では解剖体を用いた報告はありません。9〜74歳の正常例57例(男性29例、女性28例)をMRIで調査した結果、平均上下長は5.7 mmでした。20歳代の女性では平均7.5 mmと明らかに高値でした。また、下垂体上面の形態は隆起型(11例)、平坦型(28例)、陥凹型(18例)に分類されました。下垂体茎はMRI上で75.4%で確認できました(山中ら、1986)。同様に、正常例60例(男性30例、女性30例、平均年齢25.3歳)のMRI調査では、前葉の体積と高さは女性が大きく(男性312 mm³、5.1 mm:女性428 mm³、7.1 mm)、女性16例と男性2例では前葉が上に凸の形態を示しました。また、3例で前葉が左右非対称で、下垂体底面は77%で下に凸、23%では平坦でした。一方、後葉は73%で鞍背前面の浅い陥凹に見られ、33%では左右どちらかに偏位していました。前葉と後葉の境界面の形態にはいくつかの変異があり、後葉が楕円形で前葉が包み込むような典型的な形態は14例だけでした(藤澤ら、1987)。下垂体を収容するトルコ鞍の前後径は、成人平均で男性は11.2 mm、女性は10.7 mmで、深さは男女とも平均8.9 mmでした(名和田、1963)。