包皮小帯 Frenulum preputii

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J0788 (陰茎、球海綿体筋および筋膜と皮膚の一部を除去:下方からの図)

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J0805 (男性の会陰筋:下方からの図)

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J0974 (陰茎の神経:前右側からの図)

解剖学的特徴

包皮小帯は、陰茎の腹側(尿道側)正中線上に位置する薄い帯状の結合組織で、亀頭冠(corona glandis)の直下から包皮内板へと連続しています(Taylor et al., 1996)。解剖学的には亀頭と包皮をつなぐ折り目状の構造物で、陰茎海綿体(corpus cavernosum penis)と尿道海綿体(corpus spongiosum)の間に位置しています。組織学的には、重層扁平上皮に覆われ、その下に疎性結合組織、豊富な弾性線維、小血管、神経終末を含みます(Cold and Taylor, 1999)。包皮小帯の長さは個人差が大きく、平均的には10-15mm程度とされていますが、短小帯症では5mm以下となることもあります(McGregor et al., 2007)。

組織構造と微細解剖

包皮小帯の組織学的構造は、表層から深層にかけて重層扁平上皮、基底膜、固有層(lamina propria)、血管網、神経叢の順に配列しています(Cold and Taylor, 1999)。固有層には豊富な弾性線維とコラーゲン線維が存在し、伸展性と柔軟性を提供しています。また、小帯には特殊な感覚受容器であるMeissner小体(触覚受容器)、Pacini小体(圧覚受容器)、自由神経終末(痛覚・温度覚受容器)が高密度に分布しており(Halata and Munger, 1986)、これらが包皮小帯の高い感受性の解剖学的基盤となっています。

神経支配と機能

包皮小帯は陰茎背神経(dorsal nerve of penis)の分枝によって神経支配を受けています。陰茎背神経は陰部神経(pudendal nerve)の終枝であり、仙髄神経S2-S4に由来します(Yang and Bradley, 1998)。包皮小帯には多数の感覚神経終末(触・圧覚受容器、Meissner小体)が存在し、性的刺激に対して高い感受性を持ちます(Halata and Munger, 1986)。Sorrells et al.(2007)は、陰茎の各部位における微細触覚閾値を測定し、包皮小帯が陰茎の中でも特に敏感な部位の一つであることを実証しました。また、小血管に富み、性的興奮時には充血します。包皮小帯の感覚情報は脊髄を経由して大脳皮質の体性感覚野に伝達され、性的快感の重要な要素となります(Komisaruk et al., 2004)。

臨床的意義

臨床的には、包皮小帯が短い場合(短小帯症:frenulum breve)、勃起時や性交時に過度に引っ張られることで痛みや出血を引き起こすことがあります(Whelan, 1977)。短小帯症の有病率は正確には不明ですが、包茎とともに男性外性器の一般的な悩みの一つとされています。これが持続すると包皮小帯炎(frenulitis)を発症し、線維化や硬化により症状が悪化する場合があります。反復する裂傷は瘢痕形成を引き起こし、さらなる短縮と疼痛の悪循環を生じます(Malone and Steinbrecher, 2007)。

治療には、局所麻酔下での小帯切除術(frenuloplasty)や包皮環状切除術(circumcision)が行われることがあります(Rajan et al., 2018)。小帯切除術は、小帯を横切開してから縦方向に縫合することで長さを延長する手技で、簡便かつ低侵襲であり、高い患者満足度が報告されています(Malone and Steinbrecher, 2007)。また、包皮小帯は男性の性感帯の一つとされており、医原性の損傷を避けるためには、包皮環状切除術やその他の陰茎手術において、可能な限り小帯を温存することが推奨されます(Taylor et al., 1996)。

参考文献