亀頭中隔 Septum glandis penis

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J0792 (陰茎の断面図:陰茎亀頭の前部の断面)

概要

亀頭中隔(septum of glans penis)は、陰茎亀頭(glans penis)の左右両半を正中面で隔てる薄い繊維性の中隔構造である。発生学的には、胎生期に尿道海綿体(corpus spongiosum)が陰茎海綿体(corpora cavernosa)と融合する過程で形成される(Moore et al., 2019)。この中隔は主に密な結合組織で構成され、亀頭の正中面に沿って位置している。

解剖学的特徴

解剖学的には、亀頭中隔は亀頭冠(corona glandis)から尿道口(external urethral orifice)まで前後方向に伸びており、左右の亀頭組織を部分的に分離している(Standring, 2021)。この中隔構造は亀頭の機械的支持に寄与し、特に陰茎の勃起時に亀頭形状の安定性を保つのに重要な役割を果たしている。中隔内には小血管と神経線維が走行し、亀頭の両側への血液供給と感覚伝達を媒介している(Hsu et al., 2004)。

組織学的特徴

組織学的には、亀頭中隔は主に膠原線維(collagen fibers)と弾性線維(elastic fibers)からなる密性結合組織で構成され、少量の平滑筋細胞も含まれている(Srivastava and Ali, 2018)。血管とリンパ管が中隔内を縦走し、亀頭の左右両側への血液供給とリンパ排出を促進している。神経終末も豊富に分布しており、亀頭の高い感覚受容性に寄与している(Yang et al., 2008)。

臨床的意義

臨床的には、亀頭形成術(glanuloplasty)や尿道下裂(hypospadias)の修復手術において、亀頭中隔の解剖学的理解が重要となる(Snodgrass et al., 2020)。手術時には中隔の損傷を避けることで、術後の亀頭形態と機能を最適に保つことができる。また、稀に先天性の亀頭二分症(bifid glans)では、この中隔の発達異常や不完全形成が関与していることがある(Baskin et al., 2016)。陰茎癌(penile cancer)の症例では、腫瘍の中隔浸潤の有無が進行度評価(staging)と治療方針決定に影響を与える重要な因子となり、画像診断や病理学的検査で評価される(Velazquez et al., 2018)。

参考文献