
J0626 (女性の骨盤の静脈:右半分、左からやや前方からの図)

解剖学的構造
陰核は、男性の陰茎の発生学的相同器官であり、腟前庭の前方に位置しています(O'Connell et al., 2005)。解剖学的には陰核は陰核亀頭(glans clitoridis)、陰核体(corpus clitoridis)、および二本の陰核脚(crura clitoridis)から構成されています。陰核体は二つの陰核海綿体(corpora cavernosa clitoridis)からなり、これらは恥骨下枝に付着する陰核脚として後方に延びます(Baskin et al., 2018)。陰核亀頭は陰核体の先端部にある敏感な組織で、包皮(prepuce)に覆われています。
発生学
発生学的には陰核と陰茎は同じ胎児組織から発達し、男性胎児ではテストステロンの影響下で陰茎へと分化するのに対し、女性胎児では陰核に分化します(Cunha et al., 2020)。陰核は尿道および尿道海綿体を欠くため、排尿機能はありませんが、感覚機能は極めて発達しています。
組織学
組織学的には、陰核亀頭の上皮直下には多数の自由神経終末が存在し、固有層には特殊な触・圧覚受容器である陰部神経小体(genital corpuscles)が豊富に分布しています(Levin, 2020)。また、陰核海綿体の薄膜上にはファーター・パチニ小体(Vater-Pacini corpuscles)が多数配置されており、これらは振動感覚を検出します。これらの受容体は、陰核が機械的刺激を受けると豊富な神経信号を脳に伝達します。
血管系
血管学的には、陰核は主に内陰部動脈(internal pudendal artery)の分枝である陰核背動脈(dorsal artery of clitoris)と陰核深動脈(deep artery of clitoris)により血液供給を受けます(Di Marino and Lepidi, 2014)。性的興奮時には、これらの動脈を通じた血流増加により陰核海綿体が充血し、勃起状態となります。静脈還流は主に陰核背静脈(dorsal vein of clitoris)を通じて行われます。
神経支配
神経支配に関しては、陰核は主に陰部神経(pudendal nerve)の分枝である陰核背神経(dorsal nerve of clitoris)によって知覚神経支配を受けています(Yucel et al., 2003)。この神経は仙髄神経叢(S2-S4)に由来し、非常に多くの感覚神経線維を含んでいます。また、自律神経系も陰核に分布しており、交感神経系と副交感神経系が性的反応の調節に関与しています。
臨床的意義
臨床的には、陰核は女性の性的快感において重要な役割を果たし、女性の性機能障害の評価や治療において考慮すべき解剖学的構造です(Puppo, 2013)。また、女性性器切除(FGM)、陰核肥大、外陰部の炎症性疾患などの病態においても重要な診断的意義を持ちます。
参考文献