陰核包皮 Preputium clitoridis

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J0796 (女性の骨盤臓器、左側の骨盤壁を除去:左側からの図)

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J0800 (女性の外部性器:女性外陰部)

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J0806 (女性の会陰筋:下から見た図)

解剖学的特徴

陰核包皮は女性外生殖器の重要な構成要素であり、小陰唇の前方部が二つに分かれて形成される皮膚のヒダです(Ginger and Yang, 2023)。解剖学的には、小陰唇が陰核に近づくと前後の葉に分岐し、前方の葉が陰核亀頭を覆う陰核包皮となります。この構造は陰核亀頭(glans clitoridis)を保護する役割を担っています(O'Connell et al., 2021)。

組織学的特徴

組織学的には、陰核包皮は重層扁平上皮で覆われており、多数の神経終末と感覚受容体(パチニ小体、マイスナー小体など)を含んでいます(Baskin et al., 2022)。これらの感覚受容体は性的刺激の感知に重要な役割を果たしています。また、包皮下には少量の皮脂腺が存在し、スメグマと呼ばれる分泌物を産生しています(Mazloomdoost and Pauls, 2019)。

臨床的意義

臨床的には、陰核包皮の癒着(包皮膜)や炎症が生じることがあり、これらは陰核痛や性交痛の原因となることがあります(Vieira-Baptista et al., 2022)。また、一部の文化では女性器切除(FGM)の一環として陰核包皮の切除が行われることがありますが、これは身体的・精神的健康に重大な悪影響を及ぼす可能性があります(WHO, 2024)。産婦人科診療においては、外陰部の視診時に陰核包皮の状態を適切に評価することが重要です(Seehusen et al., 2020)。

参考文献

東洋医学との関連性

経絡・経穴との解剖学的対応関係

陰核包皮を含む女性外陰部は、東洋医学において複数の経絡が交会する重要な領域として認識されています。解剖学的には、この領域は任脈(Ren Mai)と衝脈(Chong Mai)の循行経路に位置し、特に任脈の会陰(CV1)、曲骨(CV2)、中極(CV3)などの経穴と密接な関係があります(Zhang et al., 2021)。また、足厥陰肝経と足太陰脾経も外陰部を循行し、肝経の陰廉(LR11)、急脈(LR12)などの経穴が骨盤底筋群および外陰部の神経血管支配と解剖学的に対応しています(WHO, 2008)。

現代の解剖学的研究により、これらの経穴部位が陰部神経(pudendal nerve)の分枝や内陰部動静脈の走行に沿って位置していることが明らかになっています(Xie et al., 2020)。特に会陰穴は陰核包皮から約2-3cm後方に位置し、陰核背神経および陰部神経の浅枝が通過する領域に相当します(Li et al., 2019)。