外側面(卵巣の)Facies lateralis ovarii

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J0794 (右の卵巣と卵管がその位置で横に切断:上方から見た図)

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J0796 (女性の骨盤臓器、左側の骨盤壁を除去:左側からの図)

解剖学的構造

卵巣の外側面は、女性生殖器官である卵巣の外側の表面を指します。解剖学的には、卵巣は骨盤側壁に隣接し、その外側面は子宮広間膜の後葉と接しています (Standring, 2016)。この面は比較的平滑で、骨盤腔の側壁に面しており、卵管采と間接的に関係しています。卵巣の外側面は楕円形を呈し、その長軸は約3-4cm、短軸は約2-3cmです (Moore et al., 2018)。この面は腸骨窩に位置し、外腸骨動静脈、尿管、閉鎖神経などの重要な構造物に近接しています (Netter, 2018)。

組織学的構造

組織学的には、卵巣の外側面は単層立方上皮または扁平上皮(生殖上皮または表面上皮)で覆われており、その下には緻密な結合組織からなる白膜(tunica albuginea)が存在します (Ross and Pawlina, 2020)。白膜の厚さは約50-100μmで、卵巣実質を保護する役割を果たしています (Mescher, 2021)。白膜の下には皮質があり、様々な発育段階の卵胞(原始卵胞、一次卵胞、二次卵胞、成熟卵胞)が存在します (Kierszenbaum and Tres, 2020)。外側面の皮質領域には間質細胞も豊富に存在し、ステロイドホルモンの産生に関与しています (Young et al., 2019)。

臨床的意義

臨床的には、卵巣の外側面は様々な病理学的変化が発生する部位として重要です。良性病変としては、機能性嚢胞(卵胞嚢胞、黄体嚢胞)、成熟嚢胞性奇形腫、漿液性嚢胞腺腫などが挙げられます (Kurman et al., 2020)。悪性腫瘍としては、漿液性腺癌、粘液性腺癌、明細胞腺癌などの上皮性卵巣癌が最も頻度が高く、これらは卵巣の表面上皮または皮質直下の封入嚢胞から発生すると考えられています (Karnezis et al., 2017)。

画像診断では、経腟超音波検査が第一選択であり、卵巣の外側面の形態、大きさ、内部エコー、血流評価が可能です (Fischerova et al., 2021)。CTやMRIは、腫瘍の拡がり、周囲臓器への浸潤、リンパ節転移の評価に有用です (Forstner et al., 2020)。特にMRIは、卵巣腫瘍の組織特性の評価に優れており、良悪性の鑑別に重要な役割を果たします (Thomassin-Naggara et al., 2019)。

外科的治療では、腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術や卵巣摘出術の際に、卵巣の外側面が直視下に観察されます (Nezhat et al., 2018)。術中所見として、表面の平滑性、色調、腫瘤の有無などが評価され、悪性が疑われる場合には迅速病理診断が実施されます (Prat, 2019)。また、卵巣癌の進行期分類(FIGO分類)においても、外側面を含む卵巣表面への腫瘍浸潤の有無が予後因子として重要です (Matsuo et al., 2019)。

参考文献