膀胱

膀胱は、腎臓で生成された尿を尿管を通じて受け取り、一時的に約350~500ml以上を貯蔵する尿の貯蔵器官であり、平滑筋からなり、弾力性に富んでいます。膀胱は骨盤腔の最前部に位置し、恥骨の後ろにあります。軽度に充満した状態では、四面体の形をしており、その頂部を膀胱尖、底部を膀胱底と呼びます。尖部と底部の間の部分を膀胱体と呼びます。

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J0771 (膀胱、拡張時の周囲構造付き:後方からの図)

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J0772 (膀胱、表面の筋層を取り除き拡張:後上方からの図)

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J0773 (女性の膀胱と尿路、膀胱は収縮:尿道を前方から開いている図)

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J0774 (男性の膀胱、適度に拡張され開放された:前方からの図)

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

(1)計測値

膀胱の容積は平均473.4cc(浦,1987)である.壁の厚さと強度については浅見(1961)の研究がある.

(2)重複膀胱

完全重複膀胱は左右の膀胱が完全に分離し、尿管と尿道もそれぞれ独立しています。日本では疑わしいケースが2例報告されています。新生児期に発見されることが多いのは、外陰部の高度な奇形を伴うことが一因であると考えられます。また、腎や尿管の奇形の合併も国内で報告されています(図135) (廣川,1957)。その他の型としては、不完全縦隔壁膀胱(2例)や砂時計膀胱(7例)の報告もあります(図136) (市川ら,1984)。砂時計膀胱は7例中6例が男性で、成人や高齢者で偶然見つかったケースも含まれています(折笠ら,1970)。

図135 巨大尿管を伴った隔壁膀胱の1例(廣川,1957)