腎盤

腎盤は、腎門において漏斗状を呈する尿管の起始部です。尿管上端の扁平な漏斗状膨大部で腎杯を受け、先端は尿管に続いています。腎臓で産生された尿は、腎錐体の先端にある多数の乳頭孔から排出され、乳頭を取り囲む杯状の嚢、すなわち腎杯に受け入れられます。乳頭を囲む腎杯を小腎杯といい、小腎杯がさらに合わさって2-3個の大腎杯になります。大腎杯は内下方に集まって三角形状の嚢、すなわち腎盂(腎盤)になります。腎盂は下方に向かって漏斗状になり、尿管に移行します。"Pelvis"とは、水盤や洗面器の意味があります。解剖学上の"pelvis"には骨盤と腎盤の2種類があるため、腎盤の場合は"pelvis renalis"としないと混同するおそれがあります。

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

腎盤

腎盂の形は、嚢状型(基本型)、二分型、三分型に分けられます(図123)(浦, 1987)。27歳から91歳までの解剖体の腎臓100個、小腎盂858個について鋳型を作製し、計測したデータ(Asakawa, 1988)によれば、1つの腎臓には平均8.58±1.85個(4-16個)の小腎盂があり、その表面積の合計は356.71 mm²(181-703 mm²)、1つの小腎盂あたり41.55 mm²です。小腎盂の形を分類すると、neck typeが67.5%、half-neck typeが23.5%、non-neck typeが9.0%となります。

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図123 腎盤の型(浦, 1987)

図123 腎盤の型

各型の頻度は次の通りです。

A: 嚢状の基本型(19%)、B: 二分型(60%)、C: 三分型(22%)

重複腎盤

重複腎盤尿管は、一つの腎臓に二つの腎盤と二本の尿管が存在する状態で、その頻度は1.47%です(浅川ら、1989)。下部腎盤が発達する傾向がある(図124) (山元、1955)。造影所見によれば、左側の重複腎が二例報告されていますが、重複腎盤との鑑別など詳細は不明です(矢沢、1971)。

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