腎盤 Pelvis renalis

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J0767 (右腎:後方からの図)

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J0768 (右腎:背側からの割面図)

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J0769 (露出された腎盂を持つ右腎臓:後方からの図)

解剖学的構造

腎盤(腎盂、renal pelvis)は、腎門において漏斗状を呈する尿管の起始部であり、尿管上端の扁平な漏斗状膨大部として定義されます。腎杯から尿を受け取り、先端は尿管に連続しています(Moore et al., 2018)。

腎臓内部では、腎錐体の先端である腎乳頭から多数の乳頭孔を通じて尿が排出されます。この乳頭を取り囲む杯状構造が小腎杯(minor calyx)であり、通常7-13個存在します。小腎杯は合流して2-3個の大腎杯(major calyx)となり、大腎杯はさらに内下方に集まって三角形状の嚢である腎盂を形成します。腎盂は下方に向かって次第に狭くなり漏斗状となって尿管へと移行します(Drake et al., 2020)。

組織学的特徴

腎盂の壁は、内側から順に移行上皮(尿路上皮)、粘膜固有層、筋層、外膜からなります(Ross and Pawlina, 2016)。移行上皮は3-6層の細胞層で構成され、尿の伸展に対応できる特殊な構造を持っています。筋層は主に平滑筋からなり、蠕動運動によって尿を尿管へと送り出す機能を担っています。

臨床的意義

腎盂は尿路結石の好発部位の一つであり、腎盂結石は強い疝痛を引き起こします(Kumar et al., 2018)。また、細菌感染により腎盂腎炎を発症することがあり、適切な抗菌薬治療が必要です。さらに、腎盂尿管移行部狭窄(UPJO)は先天性の尿路閉塞疾患として知られ、水腎症の原因となります。腎盂癌は稀な悪性腫瘍ですが、血尿や側腹部痛などの症状で発見されることがあります(Maclennan and Cheng, 2020)。

語源と用語

"Pelvis"とは、ラテン語で「盆」や「洗面器」を意味します(Standring, 2021)。解剖学上の"pelvis"には骨盤と腎盤の2種類があるため、混同を避けるために腎盤の場合は"pelvis renalis"と特定します。日本語では「腎盂」という表記も一般的に用いられています。

参考文献

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると