腎門 Hilum renale

解剖学的特徴

腎門は、腎臓の内側縁に位置する陥凹した領域で、腎動脈が入り、腎静脈と尿管が出る重要な解剖学的構造です(Gray et al., 2020)。この部位は腎臓の機能的および構造的な「玄関口」として機能しています。

構造的配列

解剖学的には、腎門内の構造物は通常、前から後ろへ「腎静脈、腎動脈、腎盂(尿管の拡張部分)」の順に配列されています。この配列は「VAP(Vein, Artery, Pelvis)」と記憶されることがあります(Drake et al., 2019)。また、腎門は腎臓の長軸よりもやや下方に位置しており、腎洞(Renal sinus)へと続いています。

臨床的意義

臨床的には、腎門は超音波検査、CT、MRIなどの画像診断において重要な指標となります(Standring, 2021)。また、腎臓手術(特に腎移植や部分腎摘除術)において、腎門の血管構造の把握は出血のリスク管理に不可欠です。腎門部の血管損傷は致命的な出血を引き起こす可能性があるため、外科的介入の際には特に注意が必要です(Netter, 2018)。さらに、腎門リンパ節は腎癌のリンパ節転移の初期部位となることが多く、がんのステージング評価において重要な意義を持ちます(Campbell-Walsh et al., 2021)。

参考文献

J766.png

J0766 (左腎:前方からの図)

J767.png

J0767 (右腎:後方からの図)

J769.png

J0769 (露出された腎盂を持つ右腎臓:後方からの図)

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると