内側縁(腎臓の)Margo medialis renis

1. 解剖学的特徴

腎臓の内側縁は、背骨に面した腎臓の内側の縁であり、腎門(hilum renale)が位置する部位です (Drake et al., 2020)。解剖学的には腎臓の前面と後面の境界となり、凹面を形成しています。右腎の内側縁は下大静脈に近接し、左腎の内側縁は腹部大動脈に近接しています (Standring, 2021)。腎門からは腎動脈、腎静脈、尿管、リンパ管および神経が出入りします。

2. 臨床的意義

臨床的には、腎臓の内側縁は腎臓超音波検査や腹部CT検査で重要な解剖学的指標となります (Wein et al., 2022)。また、腎外科手術(腎摘出術や部分腎切除術)において、腎血管の処理を行う際に重要な解剖学的目印となります (Campbell-Walsh, 2021)。腎臓の内側縁に発生した腫瘍は、早期に腎門部の血管やリンパ管に浸潤する可能性があり、予後に影響を与えることがあります (Ellis et al., 2019)。

3. 画像診断における重要性

腎臓の内側縁は超音波検査やCT画像において、腎臓の位置同定や病変の局在を把握する上で重要な解剖学的指標です (Tanagho and McAninch, 2020)。特に腎血管の走行との関係から、血管性病変の評価において注目すべき部位となります。

参考文献

J766.png

J0766 (左腎:前方からの図)