右下葉気管支

右下葉気管支は、第四肋骨までの右下葉へ向かう葉気管支です。上下葉枝(B6)、内側肺底枝(B7)、前肺底枝(B8)、外側肺底枝(B9)、後肺底枝(B10)から構成されます。

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

右下葉の区域気管支の分岐形態

右下葉では、まずB⁶を分けて、B⁷、B⁸、B⁹、B¹⁰が共同幹を作ります。

B⁶では、稀にB⁶a、B⁶b、B⁶cが共同幹を作らないことがあります(2.5%、山下、1978)。下方に向かうB⁶cは、半数で下葉高の上2/3に達します。B⁶a、b、cの分岐型は図89表17に示しています。単一のB⁶を形成する大多数の中で、亜区域枝ではB⁶aとB⁶bの共同幹形成が多数を占めます。B⁶の直下から後方に向かうB*(ビーコメと読む、いわゆるSubsuperior)は29.6%(山下、1978)または46%(荒井・塩沢、1992)に存在します。

B⁷はB⁶の約5mm遠位から分かれます。下肺静脈の前方のみに分布するB⁷a型、二つに分岐して下肺静脈を挟むB⁷a、b型、B⁷が欠如してB⁸またはB⁹+¹⁰の枝が補完するBX⁷a、b型に分類されます(図90表18)。下肺静脈後(前)方に至るB⁷a(B⁷b)を逆にB⁷b(B⁷a)と呼ぶこともあります(荒井・塩沢、1992)。

B⁶およびB⁷分岐後の気管支(B⁸+B⁹+B¹⁰)の分岐型としては、B⁹+¹⁰の共同幹形成が多い(図91表19)。また、外方に向かうB⁸aとB⁹a、及び後方に向かうB¹⁰aが、各区域の亜区域気管支の中で最も早く分岐します(荒井・塩沢、1992)。

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図89 右B⁶分岐の諸型(荒井・塩沢, 1992)

図89 右B⁶分岐の諸型

左端の図は下葉気管支分岐の全体像を示しています。各型の頻度については表17を参照してください。

A: B⁶a+c, B⁶b型 B: B⁶a+b, B⁶c型 C: B⁶a, B⁶b, B⁶c型

表17 右下葉におけるB⁶a, b, cの分岐形態(図89)

表17 右下葉におけるB⁶a, b, cの分岐形態