右下葉気管支 Bronchus lobaris inferior dexter

J0750 (左肺:内側からの図)

J0751 (気管とその右気管支の走行:右側からの図、半分は図式図)

J0752 (気管とその左気管支の走行:左側からの図、半分は図式図)

J0753 (気管とその枝の鋳造:前方からの図)
解剖学的特徴
右下葉気管支は、中間気管支幹の続きとして第四肋骨レベルまで伸びる太い葉気管支です。解剖学的には上下葉枝(B6:上葉区域気管支)、内側肺底枝(B7)、前肺底枝(B8)、外側肺底枝(B9)、後肺底枝(B10)の5つの区域気管支から構成されています(Boyden, 1955)。
臨床的意義
臨床的に重要な点として、右下葉気管支は比較的直線的な走行を示すため、異物誤嚥時に異物が入りやすい部位です(Sakula, 1986)。また、その解剖学的位置から、肺炎や気管支拡張症などの呼吸器疾患が好発する領域でもあります。気管支鏡検査では、右主気管支から中間気管支幹を経て容易に観察できるため、診断的気管支鏡において重要な観察部位となっています(Ikeda et al., 1968)。
分岐パターンと変異
B6は他の肺底区域気管支(B7-B10)とは独立して分岐することが多く、気管支分岐の解剖学的変異も見られます(Yamashita, 1978)。この解剖学的特徴は、肺切除術や気管支内治療の際に術前評価として把握すべき重要な情報です(Nagayama et al., 2015)。
参考文献
- Boyden, E.A. (1955) 'Segmental anatomy of the lungs: a study of the patterns of the segmental bronchi and related pulmonary vessels', New York: McGraw-Hill. → 本書は肺の区域解剖学に関する先駆的研究として広く知られ、気管支と肺血管の分岐パターンを詳細に分析している。Boydenは、肺の各区域における気管支の走行と血管分布を系統的に記述し、区域切除術などの現代の胸部外科手術の基礎となる解剖学的知見を提供した。特に右下葉気管支の5つの区域気管支(B6-B10)の分岐様式について詳細な記載を行い、その後の臨床解剖学研究の礎を築いた。
- Ikeda, S., Yanai, N. and Ishikawa, S. (1968) 'Flexible bronchofiberscope', Keio Journal of Medicine, 17(1), pp.1-16.→ 池田茂人らによる気管支ファイバースコープの開発に関する画期的論文。従来の硬性気管支鏡では観察困難であった末梢気管支まで到達可能な柔軟性を持つファイバースコープを開発し、気管支鏡検査の技術革新をもたらした。右下葉気管支のような末梢部位の観察が容易になったことで、早期肺癌の診断や気管支病変の詳細な評価が可能となり、呼吸器内科学の臨床実践に革命的な影響を与えた。
- Nagayama, K., Kurosaki, Y. and Kurimoto, N. (2015) 'Bronchial anatomy: relevance to bronchoscopy and bronchial interventions', Respiratory Investigation, 53(4), pp.178-186.→ 気管支解剖学と気管支鏡検査・気管支インターベンションの関連性について包括的に解説した論文。右下葉気管支を含む各葉気管支の解剖学的特徴と臨床的意義を詳述し、気管支鏡検査時の解剖学的ランドマークの重要性を強調している。特に、気管支内治療(レーザー治療、ステント留置など)を行う際に必要となる解剖学的知識と、術前CT画像による気管支走行の評価方法について実践的な指針を提供している。
- Sakula, A. (1986) 'Bronchoscopy: a historical perspective', Journal of the Royal Society of Medicine, 79(12), pp.756-757.→ 気管支鏡検査の歴史的発展を概観した論文。1897年のGustav Killianによる硬性気管支鏡の導入から、1960年代の池田らによる柔軟なファイバースコープの開発まで、技術的進化の過程を詳述している。右下葉気管支における異物摘出や病変観察の歴史的変遷を通じて、気管支鏡検査が診断・治療の両面で果たしてきた役割の重要性を明らかにしている。
- Yamashita, H. (1978) 'Roentgenologic anatomy of the lung', Tokyo: Igaku-Shoin.→ 山下久雄による肺のX線解剖学に関する包括的研究書。気管支造影や単純X線写真における気管支の放射線学的特徴を詳細に解説し、臨床診断における意義を明らかにしている。右下葉気管支の各区域気管支の投影像と、それらの病変時における画像所見の変化について系統的に記述しており、放射線科医や呼吸器内科医にとって臨床実践上の重要な参考資料となっている。特に気管支拡張症や肺炎などの疾患における右下葉気管支の画像診断に有用な知見を提供している。
日本人のからだ(村上 弦 2000)によると
東洋医学との関連性